紀要論文 『古今和歌集』と『枕草子』―「桜」の描写の比較から―

赤間, 恵都子

内容記述
国風文化が花開いた平安時代、文学の中心は和歌であり、勅撰和歌集が次々と編纂されていった。そんな時代に歌人の家系に生まれた清少納言は、『枕草子』という新しい形式の文学作品を生み出した。最初の勅撰和歌集として権威的存在だった『古今和歌集』と、それを意識して生み出されたに違いない新しい形式の文学と、二つの作品にはどのような違いがあるのか、両作品が取り上げる四季の景物の扱い方を比較検討することで明らかにしようと試みた。その最初の題材として、本稿では春の代表的な景物である「桜」を取り上げ、両作品の「桜」の用例をすべて抽出し、その内容を比較検討した。その結果、散る桜を詠う『古今集』に対して、散らない桜を演出する『枕草子』という対照的な様相がとらえられた。『枕草子』は『古今集』の文学的価値を認める一方で、『古今集』に対抗した独自の世界を創り上げたと考える。『枕草子』においては、桜は后の象徴として用いられており、清涼殿と二条邸(中宮定子の里邸)に設置された満開の大きな桜は、決して散らせてはいけないものだった。したがって、『古今集』が散る桜をどんなに賞美しても、『枕草子』は散らない桜の世界を描きとめたのである。両作品の四季の景物について、さらに検証をつづけていく予定である。
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