Departmental Bulletin Paper 保育相談支援における保育士の葛藤―「気になる子ども」の保護者との関係変容に伴う支援の質的転換に着目して―

亀﨑, 美沙子

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保育士は法律上、保育と保護者への保育相談支援という二重の役割を担っている。そのため、保育士は両者の間で板挟みとなり、葛藤が生じやすいことが指摘されている。しかし、保育相談支援に関する先行研究は極めて少なく、こうした保育士の意識に焦点化した検討はなされていない。そこで本研究では、保育相談支援における葛藤事例に関する半構造化インタビューを行い、保護者に対する保育士の意識やかかわりについて検討を行った。SCAT による質的分析の結果、43の構成概念が抽出され、以下の4 点が明らかとなった。第一に、保育士は「子どものため」に保護者と発達的課題の共通理解を図りたいとの思いをもちながらも、受容準備性のない「保護者のため」には、問題を伝えることができない状況に対して、葛藤を感じていた。第二に、保護者自身に養育上のニーズが発生したことが契機となり、保護者と保育士の関係性が大きく変容していた。第三に、①保護者からの接触回避経験、②要支援告知による保護者ニーズの発生により、保育士の支援に質的転換が生じていた。第四に、保育士の意識は「子どものために」という思いに偏っていた段階から、「子どものために」と「保護者のために」という2 つの思いの間でバランスを取りつつ、保護者ペースに即した支援を行う段階へと移行していた。本研究の考察からは、子どもの発達的課題を保護者と共有するためには、①連携を可能とする保護者との関係構築や、②保護者自身の養育ニーズへのアプローチが重要であることが示唆された。
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