Departmental Bulletin Paper サービス産業におけるボーングローバル企業の出現可能性と競争優位

村瀬, 慶紀

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 企業の国際化に関するプロセスは、これまで主に大企業を対象として、国際貿易(輸出入)、技術供与(アライアンス)、現地生産、販売子会社の設立、研究開発拠点(R&D)というプロセスで長期間にわたって形成してきたといえる。 しかしながら、1990 年代初頭より中小・ベンチャー企業を中心に創業後もしくはその後まもなく、国際的な事業を展開する例がみられるようになり、これらの企業を“生まれながらの企業”という意味合いから「ボーングローバル企業」と呼ばれるようになった。その後、ボーングローバル企業に関するさまざまな研究が行われてきたが、共通していえることは、それらの大半は輸出事業あるいはハイテク型の知識・技術集約型産業であった。一方で、一部の研究者からはボーングローバル企業のなかにサービス産業が含まれていることが指摘されはじめ、製造業と経営手法が異なるサービス産業におけるボーングローバルの出現可能性及び競争優位の解明に必要な諸理論を導出することが本研究の目的であった。その結果、文献研究およびケーススタディから以下の3 点が明らかになった。 第一に、これまでのBGC 出現の背景を考えると、国や産業、規模の大小を問わずに、創業と同時もしくはその後まもなく海外進出をしている傾向がみられることから、サービス産業においても多くのBGC が出現する可能性は十分にあるといえる。 第二に、資源ベース論、そこから派生したダイナミック・ケイパビリティ論、そしてメタナショナル経営論については、BGC の戦略行動の分析や競争優位を解明するうえで参考になると考えられる。 第三に、事例分析を行った結果、①海外進出においては、現地国のオファーによるプル要因が比較的多いこと、②企業単位ではなく、企業のなかの一事業部門が事業の多角化の一環で、新規事業の設立と同時に海外進出する可能性があること、③サービス産業の業界は多岐にわたっており、業種の特性(労働集約型/資本集約型/知識集約型等)によって商品やサービスの提供方法が異なり、フランチャイズやマネジメントコントラクト等によるパートナーとの関係が重要になることが挙げられる。
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