紀要論文 19 世紀後半のフランスにおける大衆消費の相貌 -ゾラ『ボヌール・デ・ダム百貨店』とロビダの諷刺画をめぐって-

有富, 智世

内容記述
 自然主義作家エミール・ゾラ(1840-1902)と作家兼諷刺画家アルベール・ロビダ(1848-1926)は、同時代に生き、双方、ジャーナリストおよび批評家としても活動した。また、実証主義と科学主義が権勢を振るう中、両者の鋭い観察眼と時代を見据える客観的なまなざしは、当時においてはメディアとして機能し、現代においては19 世紀後半のフランス社会を臨場感溢れる視覚化で我々に呈するものとなり得ている。 ゾラは「ルーゴン=マッカール」叢書(1871-1893)、第11 巻『ボヌール・デ・ダム百貨店』(1883)で、オクターヴ・ムーレを主人公に第二帝政期(1852-1870)における商業界の動向を描いた。その際、作家は実在のボン・マルシェ百貨店やルーヴル百貨店の詳細な記録を基に本小説を執筆している。また、我々は女主人公ドゥニーズの視点を通して、消費の宮殿デパートの誕生、新旧商法の対立、大衆消費社会の原点と構造に立ち会うことができる。 他方、ロビダは空想科学小説『20 世紀』(1883)の著者として知られているが、1880 年以降、諷刺新聞『カリカチュール』(1880-1904)の編集長も務めた。本紙の創刊号で、ゾラの小説『ナナ』(1880)を取り上げて以降、 ロビダは自然主義の芸術的活動と反響をとめどなく追っていく。『ボヌール・デ・ダム百貨店』も発表されるや否や、すぐに小説を一枚の戯画に翻案して本紙に掲載している。 そこで本稿では、小説と挿絵の関係からではなく、小説と風刺画の照応というロビダの“イマージュの批評”を介してゾラの小説の解読を試みた。ゾラとロビダが捉えていた“同時代のまなざし”による考察は、消費文化の興隆により生じた様々な社会的側面に注視させるとともに、機械文明がもたらす負の側面をも明瞭にすることを論証した。
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