紀要論文 Photographs of the Dead : Posthumous Identity Assertion and the Possibility of Empathy in Sharon Olds's The Dead and the Living

古村, 敏明  ,  Toshiaki, Komura

内容記述
本論文、「写真の中の生きる死者:Sharon Olds's The Dead and the Living」では、現代アメリカ詩人Sharon olds の詩集 The Dead and the Livingを題材に、生きているときの死者の写真を見る、という行為の中で感じられる間接的な喪失感とそこから生まれる共感の可能性について考察する。William Shakespeare が Sonnet 18 で表現しているように("So long as men can breathe or eyes can see, / So long lives this, and this gives life to thee")、芸術作品はその作品に描かれたものをその死後も永続させる力を持つ。死者の生前の写真の場合、そこに「芸術的生」(artistic life)と作品の中の対象の実際の死が共存するスペースが生じ、本の中の出来事が常に現在形で表されるのと同様に、死者の生が、過去のものであるだけでなく、現在にも存在し続ける。ただ、それはRoland Barthes, Walter Benjamin, Susan Sontag らの代表的な写真理論で示唆されているように、倫理的な問題を孕む、オーセンティックな主体が失われたものとしてである。 Olds の ekphrasis は、この芸術的生と現実の死を通して、より倫理性の高い共感を作る可能性を模索している。 "Photograph of the Girl" に代表されるように、Olds が描く死者は、写真で失われるオーセンティックな主体性を修復するかのように、その生及び性を主張する。この主体主張による「創られた真実性」(artificial authenticity)とそのフィクション性の認識の中から倫理的な共感が発生しうること、そして、それが喪失の間接性によって隠された、本当の喪失の知覚を可能にするということが、本論文の主旨である。
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