Departmental Bulletin Paper 外国籍住民の医療アクセス実態が示唆する文化障壁の諸要因―滞日フィリピン語コミュニティに対するパイロット調査から―

横田(有田), 恵子(恵子)

Description
わが国では2000年代半ばから、政府および経済界を中心に非専門職外国人労働者の受け入れが具体的に検討され始めた。しかし、日本に滞在する外国籍住民、特に1980年代以降に移動して来たいわゆるニューカマー集団を、わが国の経済状況や人口動態の変化を補填する労働力としてみなす傾向は一貫して変わらない。そのため現在でも、滞日外国籍住民はテンポラリーな存在と見なされがちで、行政サイドにおいては、日本社会への包摂という視点に立って制度・施策を整備しようという発想が乏しい。医療現場を調査フィールドとした本調査は、フィリピン語コミュニティ住民を対象として、医療・保健サービスへのアクセシビリティの現状をアンケート調査によって明らかにしたものである。42名の回答からは、(1)日本語の壁が医療情報理解の大半を妨げていること、(2)言語や制度の問題を解決するための支援者として、民間支援機関が高い認知を得ていること、が主に浮かび上がった。さらに結果の分析と考察を通して、人々の移住・滞在過程を日本社会への包摂につなげるためには、行政セクターが長期的視野に立った支援を行うことが必要である、とした。すなわち現況のように民間支援機関の経験知とネットワークに依存したサービスをセミ・フォーマルに行うのではなく、より安定的で長期的な支援施策とサービスが必要である、という立場である。ちなみに本調査を設計するにあたり、文化等価性に配慮した手続きを採ったことも、本研究の特徴として記しておく。フィリピン語の調査票は、バック・トランスレーションの手続きを取った上で作成し、実施したものである。
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