紀要論文 研究ノート ジェンダーに配慮したカリキュラムの動向について-教育現場における展開-

奥野, 佐矢子  ,  Sayako, Okuno

内容記述
本稿では、性別における「平等」主義を期待されている学校という場の日々の営みを、ジェンダーという批評的な概念を差し込むことにより再検討することを試みた。その結果、学校の現場には教師-生徒関係や教師自身の態度といった微視的な日常実践によって伝達される「隠れたカリキュラム」が、ジェンダーという指標においても機能していることが明らかとなった。注目を集めることで与えられる発言の機会、あるいは身体の動きや教室運営において、さらには男女別名簿をめぐっても、性別カテゴリーは多用される。そのつど繰り返し参照される男/女のカテゴリー区別は、単なる差異を超え、それぞれのジェンダーを印づけられた主体に振り分けられる学習機会や将来の進路決定の機会に深く影響し、やがては物質的にジェンダー化された身体をもつ存在を生産していくことが明らかとなった。学校文化の「隠れたカリキュラム」において機能するジェンダーは、単なる差異ではなく差別として機能する。その複雑な抑圧構造を明らかにしたうえで、実際の教育現場で実践されている「ジェンダーに配慮したカリキュラム」の、さまざまな取り組みについて分析した。分析の結果改めて問われるのは、ジェンダーという批評性をもった観点から公教育をどう構想しなおすのかという課題である。学習内容を社会関係の中に位置づけること、教育実践の中に内包される権力関係にセンシティヴであること、そうした学習者自身の自己変容を促していくような方法論。おそらくこうした課題に応答する実践とは、いつか「確立」されるものではなく、むしろ絶え間ない問い返しとともに模索が継続されていく未完のプロジェクトとなるはずではないかと結論づけた。
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