紀要論文 ルターの教理問答における「私」の問題 ~中世と近代の狭間で~

石居 , 基夫

内容記述
 ルターの神学的特徴の一つは、信仰者として、生きる罪人である「私」を神の恵みのもとに自覚し、キリストによって生かされる宗教的実存を強く表現したことにあるといえるだろう。ルターは中世のキリスト教的世界の中で、神のことばによって生かされる自己を見ていたのであって、近代のように信仰的ではあっても人間の理性に基づいて世界を把握し、自由に生き得る主体としての個の意識は全くない。それでも、中世の安定したキリスト教的封建制社会からルネサンス期を経て近代へと向かう激動の時期に生きたルターには、近代的自我への目覚めを予感させるものがあるということも否定できないだろう。それだからこそ、むしろ、神を喪失した現代の個人主義的自己中心性の限界に対して、神のことばによって生きる人間としての自己理解の重要性を示している。ルターの「私」をめぐる格闘の中に、宗教なき世界にキリスト教の存在意義を確認する一つの道筋を見出す神学の可能生を見る。
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