Journal Article 保護観察対象者の社会復帰支援と社会貢献活動の有用性について : 介護・奉仕活動からの一考察
The Utility of Social Return Supports and Social Contribution Activities for Probationers : A Study on Volunteer and Caring Activities

菅原, 好秀

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平成27(2015)年から保護観察の対象者ごとに義務づける「特別遵守事項」の規程に社会貢献活動が加えられた(「刑法等の一部を改正する法律」平成25年法45)。介護・奉仕活動による社会貢献活動は保護観察対象者が肯定的な自己イメージや他者への思いやりの気持ちを抱くきっかけとして意味を持っているが,本来,保護観察対象者の館外や感謝の言葉など情緒・感情を喚起させる「主観的」エレメントと目されるものは,法制度の客観性と形式性の秩序とは対極にあるものと考えられる。しかし,介護・奉仕活動の対象者である利用者は,理性的・合理的な判断能力が乏しいため,介護・奉仕活動の社会貢献活動には,言語化しにくい態度,姿勢としての,対人距離,物腰,わずかな眼差しといったケアが必要となってくる。このようなケアに基づいた非言語的な身体知が,理性的・合理的な言葉の意味,会話の内容以上に保護観察対象者の社会復帰に貢献しうるのである。専門的な言説が優位に位置づけられている中で,身体知が支配されている社会貢献活動を法制度に,つまり明示化困難な身体知が要求される社会貢献活動を,専門的言説で蓄積された法制度に取り入れた意義は大きい。今回の法改正は,このような身体知と合理知のダイナミックな知識変換によって,保護観察対象者の社会復帰支援のための新しい知の地平を開拓する契機となった法改正であるといえよう。
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