Research Paper 現代フランス語アルジェリア文学の諸相 : 女性・移民・戦争からの考察と分析

石川, 清子

2016
Description
静岡文化芸術大学
ヨーロッパ文学
2年目に当たる今年度はマグレブ仏語文学の「女性・戦争・移民」のテーマについて、以下の研究を行った。1)昨年逝去したアシア・ジェバールの作品見直し開始。没後の追悼イベントが数多く行われ、自身もパリのアルジェリア文化センターで行われた翻訳をテーマにした会に発表者として参加した。作家の急逝で全体の研究計画がずれる気はするが、その評価が固定し始めるとも言える。その他、ジェバール追悼の意味で研究会や学会での発表、講演、エッセイ寄稿など、この作家の作品全体を見直し、さらにいくつかのものは読み直す機会を得た。これをもとに、ジェバール作品の全体像を粗描していくことが重要だろう。本研究のテーマに照らし合わせ、十分意義のあることと判断する。2)ヤミナ・ベンギギのテキスト作品と映像作品から見る、フランスにおけるアルジェリア系移民一世と二世の女性たちの表象を考察した。本務校の紀要にベンギギのこのテーマをめぐって論文を執筆した。映画『移民の記憶』とそのテキスト版の相違の意義を考え、さらに敷衍してベンギギ初期三部作(映画)とテキスト化の振幅の大きい営為を詳細に考察した。3)ベンギギのテキスト作品翻訳を具体的に進めている。これは1)におけるジェバールの翻訳とも連携してくる。翻訳(ある[人の]言葉を別の[人の]言葉に置き換えること)とはまた、異なる時空、異なるアイデンティティーを獲得しつつ、他者の土地・言語に根を降ろし、そこで自らを確立し生存していくことである。ベンギギ『移民の記憶』の映画、テキストともに、マグレブ移民全体の「翻訳」であると言える。

Number of accesses :  

Other information