紀要論文 乳幼児期における“他者の心”の理解の発達に対する情動的映し出しの機能に関する試論

久崎, 孝浩

内容記述
本論は,子どもが同一事象に対して“他者の心”が自己とは異なること(心の主観性)をどのように理解していくのかについて理論的探求を試みたものである。近年,子どもの心の理解の主たる発達的要因として養育者の心を想定する傾向(mind-mindedness)が関心を集めているが,まず,mindmindedness研究の問題点を発達メカニズムの観点から幾つか指摘した。次に,養育者との情動的なやりとりに着目し,安定した愛着関係で頻繁に観察される養育者の情動的映し出しに焦点をあてた。続いて,子ども側の心の理解におけるより適応的なメカニズムとしてシミュレーションに着目し,ミラーニューロンを基盤とした“共鳴”と,自己の心的状態に関する経験的知識あるいは二次的表象を基盤とした“想像”という2 つのプロセスがあることを論じた。そして最後に,養育者による情動的映し出しを通じて,子どもは自己の心的状態に関する経験的知識を豊かにすることで自己の心的状態に対する覚知が可能になるとともに,“共鳴”シミュレーションを発達させることで他者の心的状態を的確に理解することが可能になって,心の主観性を理解していく可能性を提言した。
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