紀要論文 正当防衛における方法の錯誤:侵害結果が第三者に生じた場合について
Die aberratio ictus im Notwehr: Eingriffe in die Rechtsgüter unbeteiligter Dritter
セイトウ ボウエイ ニ オケル ホウホウ ノ サクゴ シンガイ ケッカ ガ ダイサンシャ ニ ショウジタ バアイ ニ ツイテ

樋笠, 尭士  ,  ヒカサ, タカシ

内容記述
 正当防衛状況において、被侵害者が侵害者に対して防衛行為(反撃行為)を行ったところ、意図せず第三者に結果が生じてしまうという事案(第三者侵害)がある。急迫不正の侵害に対応するために行為を行った被侵害者を、第三者侵害のかどで処罰するのは妥当でないことは明らかである。したがって、刑法上、かかる侵害をどのように正当化するかが問題となる。この問題につき、本稿は日本とドイツの学説を概観・検討し、誤想防衛の一種説、正当化事情の錯誤(独自の錯誤)説、責任阻却説、具体的符合説は、それぞれ論理は異なるものの、もたらす結論は妥当であると考察した。しかし、故意犯が不成立となった後の過失犯の検討において、過失犯に緊急避難が成立し得ることを前提とした場合には、誤想防衛の一種説・正当化事情の錯誤説・責任阻却説によると、故意犯の検討の際に違法であった行為が、過失犯の検討において適法と認定されてしまうことになる。本稿は、同一客体に対する一つの行為に違法評価と適法評価がなされてしまう点(二重評価)を挙げ、このような帰結に至る原因は、故意犯の違法性を認める大前提である法定的符合説であることを指摘した。そして、本稿は二重評価という帰結を避けるには法定的符合説から離れ、具体的符合説に立ち、構成要件段階において第三者に対する故意を否定すべきだと結論づけるものである。
本文を読む

https://kaetsu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=910&item_no=1&attribute_id=41&file_no=1

このアイテムのアクセス数:  回

その他の情報