紀要論文 イレウス解除術直後にbacterial translocationの関与が疑われる敗血症性ショックを呈した単純性イレウスの1 例

小林, 敦夫  ,  塩入, 利一  ,  齋藤, 範之  ,  高田, 厚  ,  河原, 正樹

67 ( 1 )  , pp.29 - 34 , 2016-01-31 , 横浜市立大学医学会
ISSN:0372-7726
内容記述
症例は開腹歴のある93歳男性.2015年10月,食思不振,嘔吐を主訴に救急外来を受診.腹部CTで下部小腸の狭窄部を起点として腸閉塞を呈していた.腹部及び検査所見から単純性イレウスと診断し,イレウス管挿入,補液,抗生剤投与で保存的治療を開始した.翌日まで経過観察したが減圧が不良で,さらにイレウス管を自己抜去されたため保存的治療継続は困難と判断し,緊急でイレウス解除術を施行した.術中所見では,小腸は著明に拡張していたが,腸管に血流障害は認めなかった.回盲部から約120cmの小腸が,小腸間膜同士の間に形成された索状物により狭窄して閉塞起点となっていた.小腸間膜は絞扼されておらず腸管の血流障害を認めないことから単純性イレウスと診断した.腸管の索状物による圧痕部は穿孔や狭窄の危険があると判断し,腸管を離断せずに同部位を楔状切除して縫合閉鎖し,ドレーンは留置せずに閉腹した.術中の循環・呼吸動態は安定していた.病棟に帰室直後に急にショック状態となり,心原性や出血性が否定的であったことからbacterial translocation(以下,BT)による敗血症性ショックと判断し,集中治療室管理とした.手術操作がBTを促進させた可能性があり,単純性イレウスでも拡張腸管の圧迫や把持により,腸管の上皮障害や内圧の上昇によってBTが進行する可能性があることが示唆された.文献的考察を加えて報告する.
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