紀要論文 ロコモ度テストと転倒スコアの関係

坂本 和歌子:筆頭著者:責任著者  ,  永井 隆士  ,  雨宮 雷太  ,  稲垣 克記

77 ( 2 )  , pp.203 - 208 , 2017-04 , 昭和大学学士会
ISSN:2187-719x
内容記述
近年の日本では高度な医療成長とともに,平均寿命が延伸している一方,寝たきりの原因の一つである運動器の障害によって移動機能の低下をきたすロコモティブシンドロームが話題となっている.高齢者の移動機能低下による入院の長期化,転院施設や介護者の不足など,医療費の増大が著しく,障害が起きる前の「予防医学」の重要性が示唆されている.寝たきりを予防するために,まず自分がロコモであるかを自覚することが重要だが,現在2015年に日本整形外科学会が提唱したロコモ度テストは,2ステップテスト,立ち上がりテスト,ロコモ25,であり,ロコモの可能性を調査することができる.一方,転倒スコアとは,転倒ハイリスク者の早期発見のための評価方法として,厚生労働省が作成した質問形式による評価表である.転倒のリスクの有無を知ることは予防医学で重要であり,健康寿命延伸に不可欠といえる.今回われわれは,ロコモ度テストと簡易式転倒スコアを用いて運動器の障害の程度と転倒リスクの関連性を調査した.当科にて,骨粗鬆症外来を受診した男女,平均年齢67(42~85)歳,167例を対象とし,ロコモ度テストによってロコモ度を評価した.転倒スコアに関しては22項目の転倒リスク評価表から,簡易的な5項目に絞られた簡易式転倒チェックシートに沿って転倒スコア6点未満を低リスク群,6点以上を高リスク群に分けた.すべてのロコモ度テストそれぞれで,転倒高リスク群でのロコモ度1またはロコモ度1のロコモ該当者の割合が多かった(P<0.001).簡易式転倒スコアは1年間の転倒の有無,歩行速度の低下,杖の使用,円背の有無,内服の数で評価し,6点以上が転倒リスクが高いといわれている.ロコモ度テストでは,移動機能の低下が始まっている段階が「ロコモ度1」生活は自立しているが移動機能の低下が進行している段階が「ロコモ度2」と定義されている.厚生労働省の平成25年国民生活基礎調査によると,要介護になる原因でもっとも多いのは,関節疾患と骨折と転倒などを合わせた運動器の障害である.健康寿命延伸のためには,わが国の中高年に急増しているロコモを予防し,運動器の健康を保つことが重要な課題である.簡易式転倒スコアは,聴取後半年以内の転倒確率が,6点以上では27%,6点以下では7%と有意な差があるといわれている.本研究でも10秒以内に聴取可能であり,アンケート形式でも簡易的に回答を得ることができた.ロコモ度テストは人手やスぺースが必要であり時間もかかり,高齢者全員に行うことは困難である.一方で簡易式転倒スコア聴取は,日常の外来でもすぐに行うことができる.患者本人や家族のロコモの前段階を知り,早期に予防運動や住宅環境の整備などに取り組むことが可能となり,今後の高齢化社会のさまざまな問題の対策につながると言える.簡易式転倒スコアは,ロコモのスクリーニングとして有効な検査法である.
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