紀要論文 温度変調–偏光顕微鏡を用いた,ヒスタミンの融解温度域における固相–液相共存状態のその場観察

本多 英彦:筆頭著者:責任著者

76 ( 6 )  , pp.745 - 750 , 2016-12 , 昭和大学学士会
ISSN:2187-719x
内容記述
ヒスタミンは融解温度域において,動的熱測定により複素比熱が測定される物質である.融解は一次相転移に分類される相転移である.熱力学において,一次相転移は相転移が完了するまで温度変化が起こらない相転移として定義され,吸収される熱量はすべて相変化に使われる.しかし,実際には,局所的な相変化により内圧の上昇等が起こり,相転移の進行が抑制され,温度変化を伴う場合がある.相転移の進行に必要な熱の吸収・放出を測定するのが動的熱測定であるが,相転移温度域において温度変化が観測され,かつ,相転移の進行が温度変化に対して時間遅れを示す,つまり,熱の吸収・放出が遅れを示す場合,比熱は複素比熱として測定される.相転移の進行が抑制される機構は物質ごとに異なる.ヒスタミンで複素比熱が測定される原因は動的熱測定だけでは解明できないため,本研究は偏光顕微鏡を用いたその場観察を行い,複素比熱の原因を考察した.融解温度域で顕微鏡観察を行うと,ヒスタミンは,融解により発生した液相の中に,結晶である固相が点在する相共存状態をとることが分かった.また,わずかに温度を変動させると,結晶の大きさもわずかに変動し,液相と固相の大きさの比率は新しい平衡状態へと変化した.比率の変化は,温度変化に対して時間遅れを示し,デバイ型緩和を示した.動的熱測定で得られた複素比熱もデバイ型緩和を示しており,両者の緩和強度の温度依存性と,緩和時間の値は良い一致を示した.したがって,複素比熱として測定された熱の吸収・放出の時間遅れは,融解温度域において液相と固相の共存状態をとることが可能なヒスタミンの,液相と固相の大きさの比率変化が温度変化に対して遅れを示すことに対応していると考えられる.
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