紀要論文 妊娠初期、中期、末期から産後1ヵ月までの抑うつ状態のスクリーニングの検討

湯舟 邦子:筆頭著者

75 ( 4 )  , pp.465 - 473 , 2015-08 , 昭和大学学士会
ISSN:2187-719x
内容記述
「健やか親子21」のキャンペーン以降、母子のメンタルヘルスに対する関心は急速に高まり、産後うつ病に関する要因や現状把握の調査も増え始めている。さらに、産後うつ病の誘因となりうる妊娠期の抑うつ状態にも目が向けられるようになった。しかし、妊娠期からの継続調査は少なく、抑うつ状態に陥り始める時期、抑うつ状態の変化を明確化するには至っていない。そこで、産後うつ病のリスクとなりうる妊娠中の抑うつ状態を発見する有効な方法を考えるために、産後うつ病予測尺度(Postpartum Depression Predictors Inventory-Revised;PDPI-R)、SF-36(MOS Short-Form36Item HealthSurvey)、日本語版エジンバラ産後うつ病自己評価票(Edinburgh Postsnatal Depression Scale;EPDS)、ピッツバーグ睡眠質問票日本語版(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)を活用し、初期、中期、末期、産後1ヵ月の間、継続して調査を行った。調査に参加した対象者は、助産院、産婦人科クリニック、大学病院の3施設のいずれかに通院し、妊娠10週から12週に妊婦定期健康診査時に研究の趣旨説明を受け同意した妊婦で、今回の妊娠、分娩、産褥経過の記載されている診療録にうつ病の既往歴の記載がなく、4回の調査に継続的に参加した77名を対象とした。平均年齢33.61±4.54歳で出産経験のある者が29.9%、出産経験のない者が70.1%の割合であった。4回の調査に継続的に参加した者の、PDPI-R得点の平均点はカットオフポイントを超えEPDS得点の平均点はカットオフポイントを超えていなかった。PDPI-Rを従属変数として重回帰分析を行った結果、初期は、初期に感じていた今回予定していなかった妊娠、今回望んでいなかった妊娠、初期のEPDSがPDPI-Rの得点を上昇させ、初期に感じていた不安が得点を下降させていた。末期は、末期に感じていた今回望んでいなかった妊娠が得点を上昇させ、今回の妊娠に対する不安が得点を下降させていた。産後1ヵ月は、初期と末期に感じていた今回望んでいない妊娠と初期末期のEPDSが得点を上昇させていた。各期とも今回予定していなかった妊娠、今回望んでいなかった妊娠は相対リスクが高かった。重回帰分析の結果では、初期のEPDS、今回望んでいなかった妊娠が得点を上昇させていた。中期では今回予定していなかった妊娠の相対リスクが高く、末期、産後1ヵ月では経済状況の相対リスクが高くなっていた。継続調査の結果からは初期と産後1ヵ月のPDPI-RとEPDSの関連が認められた。抑うつ状態を捉える関連要因としての初期のEPDS、望んでいなかった妊娠は、初期、産後1ヵ月で共通要因に挙がっていた。初期に妊娠を望んでいたか、予定していたかの確認を継続的にスクリーニングすることは、抑うつ状態の早期発見に繋がると考えられる。さらに、妊娠確定時の身体的変化、産後の身体的変化については、胎児の発育が順調か、妊娠高血圧症候群移行へのリスクはないかなどの視点だけでは、抑うつ状態の発見が遅れる可能性がある。抑うつ状態の早期発見のためには、生活上の負担になっているか否かの視点に立ち、SF-36、PSQIの活用によって身体的健康、全体的健康感、活力が下降していないかという確認が必要である。(著者抄録)
本文を読む

http://lilitory.showa-u.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=4052

http://lilitory.showa-u.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=4052&item_no=1&attribute_id=38&file_no=1

このアイテムのアクセス数:  回

その他の情報