Departmental Bulletin Paper モルヒネ誘発性便秘モデルマウスにおいて大建中湯はカハール介在細胞の減少を抑制する 

芳田 悠里:筆頭著者  ,  砂川 正隆:責任著者  ,  草柳 肇  ,  金木 清美  ,  北村 敦子  ,  岡田 まゆみ  ,  時田 江里香  ,  岩波 弘明  ,  堀部 有三  ,  石野 尚吾  ,  久光 正

75 ( 3 )  , pp.320 - 328 , 2015-06 , 昭和大学学士会
ISSN:2187-719x
Description
大建中湯は,腹痛や腹部膨満感また術後のイレウスの予防などに用いられている漢方薬である.モルヒネ誘発性便秘に対する臨床報告は散見されるが,その至適投与量や投与時期については明確にされていない.また,腸管のペースメーカー細胞であるカハール介在細胞(以下ICC)がモルヒネ投与によってどのように変化し,また大建中湯がそこに与える影響についての報告はない.本研究では,マウスモルヒネ誘発性便秘モデルを用いて大建中湯の有効性ならびに作用機序の検討としてICCの変化を調べた.1)雄性C57BL/6Jマウスに対し塩酸モルヒネ(10mg/kg)を10日間連続皮下注射することによりモルヒネ誘発性便秘モデルを作製した.大建中湯(30,75,150,300,500mg/kg/day)を投与し排便量を測定したところ,大建中湯(75mg/kg)投与によってのみ排便量の低下が有意に抑制された.次に,同種マウスより上部小腸ならび直腸を摘出し腸管運動を記録した.Krebs液に希釈した大建中湯(2%,4%,10%)を直接投与したところ,いずれも2%では明らかな変化はなかったが,上部小腸は4%で収縮が促進し,10%では抑制された.また直腸は4%または10%の投与で,用量依存的に運動が抑制された.2)大建中湯投与時期(モルヒネ投与60分前,同時,60分後)を変えて排便量を測定した.大建中湯をモルヒネ投与60分前または同時に投与した群と比較し,モルヒネ投与60分後に投与した群では排便量が有意に抑制された.3)作用機序の検討のため,コントロール群,大建中湯(75mg/kg)のみを投与した群,モルヒネ誘発性便秘モデル群,モルヒネ誘発性便秘モデルに大建中湯(75mg/kg)を投与した群の4群に分け,Tail Flick Testにて熱刺激に対する疼痛閾値を測定した.大建中湯の投与はモルヒネの鎮痛作用に影響しなかった.次に,同様に群分けしたマウスより上部小腸と直腸を摘出し,ICCの変化を免疫組織学的に調べた.c-kit抗体を用いてICCを検出し,腸管壁筋層にあるICC数をカウントした.上部小腸,直腸ともにモルヒネ投与によってICC数は減少したが,大建中湯投与によってその減少は有意に抑制された.大建中湯(75mg/kg)の投与はモルヒネ慢性投与による排便量の低下を有意に改善したが,それ以上の高用量の投与では効果は認められなかった.また,モルヒネ投与後に大建中湯を投与しても効果が得られなかったことから,十分な大建中湯の効果を引き出すには,投与量や投与のタイミングが大切であると考えられる.次に作用機序を検討した.大建中湯は,モルヒネの鎮痛作用を阻害しなかったことから,オピオイド受容体に対する阻害作用はなく,ICC減少の抑制が関与していると考えられる.
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