会議発表用資料 スピン偏極陽電子ビームによる 窒化ガリウム薄膜の空孔誘起磁性評価

前川, 雅樹  ,  境, 誠司  ,  和田, 健  ,  宮下, 敦巳  ,  河裾, 厚男

2018-03-24
内容記述
金属酸化物・窒化物の中には、原子空孔の導入により強磁性が発現する空孔誘起磁性現象を起こすものがあることが知られている。理論的にはカチオン原子空孔に局在するスピン偏極電子が、長距離相互作用により強磁性的結合を起こした場合に磁性が発揮されると考えられている。我々は原子空孔に存在するスピン偏極電子を直接捉えることができるスピン偏極陽電子消滅法(SP-PAS法)を用い、亜鉛空孔を有し強磁性を発現している酸化亜鉛結晶では、磁気ドップラー(MDB)スペクトルに亜鉛空孔に局在する電子スピン成分があることを見出した。誘起される磁性の強さは、カチオン空孔が正に荷電し最大3つのスピン偏極電子が局在できるp型窒化物で強まると考えられる。さらに低温ではフェルミ準位の下降により空孔は中性あるいは正に帯電しやすくなり、局在電子スピンが打ち消され難くなり磁化が強まると予想される。そこでp型窒化ガリウム(GaN)薄膜を用い、空孔誘起磁性と温度の関係をSP-PAS法により調べた。 サファイア基板上に形成されたp型GaN膜に窒素イオン照射により空孔を導入しMDBスペクトルを測定したところ、MDBスペクトルに強度が現れた。これは陽電子が捕獲されやすいGa空孔にスピン偏極電子が局在していることを示している。実際にガリウム空孔を仮定した第一原理計算結果はMDBスペクトルを良く再現している。30Kの測定温度では予想とは異なり信号強度が低下した。これは集団的磁化を起こすための欠陥スピン同士の磁気結合は、中性Ga空孔では反強磁性的となる理論予測を反映している可能性がある。
日本物理学会第73回年次大会参加の為

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