会議発表用資料 炭素イオン線またはX線を照射した2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジルラジカル溶液のレドックス評価

中西, 郁夫  ,  東, 梨佳子  ,  下川, 卓志  ,  山下, 真一  ,  関根(鈴木), 絵美子  ,  上野, 恵美  ,  小川, 幸大  ,  小澤, 俊彦  ,  藤崎, 真吾  ,  松本, 謙一郎

2018-03-27
内容記述
【目的】炭素イオン線は特定の深さで線量が最大となるブラッグピーックを有し、腫瘍部分に効果を集中できるため、がん治療に最適である。しかし、ブラッグピーク手前の領域でも低い線エネルギー付与(LET, Linear Energy Transfer)の炭素イオン線に被ばくすることが知られている。従って、この領域の酸化還元(レドックス)状態を評価することは、正常組織に対する副作用を軽減する上で非常に重要である。本研究では、2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカルをレドックスプローブとして用い、低LET炭素イオン線またはX線を照射した種々のDPPHラジカル溶液のレドックス状態を評価し、線質効果についても検討した。【実験】炭素イオン線(1〜20 Gy, 290 MeV/nucleon, 13.3 keV/µm)は放医研の重粒子がん治療装置HIMACにより照射した。X線(1〜20 Gy, 200 keV, 20 mA, 0.5 mm Cu + 0.5 mm Al, 1.79 Gy/min)の照射には島津Pantak HF-320を用いた。【結果および考察】β-シクロデキストリンを用いて水溶化したDPPHラジカル(Nakanishi I. et al, Chem. Commun. 51, 8311 (2015))の水溶液に炭素イオン線を照射すると、線量依存的にDPPHラジカルに由来する527 nmの吸収が減少した。527 nmの吸光度変化を線量に対してプロットすると直線が得られ、その傾き(-3.2 × 10(-3) Gy(-1))はX線を照射した場合(-3.8 × 10(-3) Gy(-1))とほぼ同じ値となった。メタノール中またはアセトニトリル中で同様の検討を行うと、この傾きは水の場合よりも大きくなったが、炭素イオン線とX線ではあまり変わらなかった。一方、ミリスチン酸イソプロピルを溶媒に用いた場合には、炭素イオン線の方がX線よりも方むかが顕著に大きくなり、飽和脂肪酸エステルはX線よりも炭素イオン線によって酸化されやすいことが示唆された。
日本薬学会第138年会

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