会議発表用資料 放射線初期応答 幼若期エンリッチメント環境がもたらす効果

横溝, 真哉  ,  西村, まゆみ  ,  森岡, 孝満  ,  西村, 由希子  ,  鶴岡, 千鶴  ,  尚, 奕  ,  柿沼, 志津子  ,  島田, 義也

2017-10-26
内容記述
【背景と目的】近年、エンリッチメント環境(EE)が身体的、精神的に良い刺激を与え、肥満や脂質代謝異常を改善し、腫瘍の増殖や脳の老化を抑制することがマウスやラットの実験で明らかとなっている。しかしながら、EEが放射線被ばくの影響に効果があるか否かはわかっていない。本研究では、EEが放射線によるアポトーシス誘導を変化させるか、またEEの効果がマウスの週齢によって異なるのかについて検討を行った。【材料と方法】3週齢または11週齢のB6C3F1雄マウスを、通常飼育環境(Standard environment: SE)もしくはその約8倍の広さのケージに数種類の遊具を設置した環境(EE)で8週間飼育した。生後3週からSE又はEEで飼育する幼若期SE群、幼若期EE群と、生後11週齢からSEまたはEEで飼育する成体期SE群、成体期EE群の4群を設定し検討した。飼育後、4GyのX線を照射し、小腸・大腸におけるアポトーシスの誘導を病理学的に観察した。【結果】EEは、体重と脂肪重量の優位な減少に加え、血中総コレステロール、中性脂肪およびグルコース、レプチンも優位に減少させ、また、褐色脂肪組織において熱産生関連蛋白質であるUCP-1の発現を増加させたことから、EEは効果的であると確認できた。この実験系を用いてX線照射後の消化管クリプトにおけるアポトーシス誘導を検討した。その結果、EEはSEに比較してアポトーシスを誘導する傾向が高く、その傾向は、特に大腸のクリプトにおいて、幼若期被ばくで有意であった。一方、、小腸において同様の傾向は観察されなかった。【まとめ】大腸クリプトにおいて幼若期にEEで飼育されたマウスはX線によるアポトーシスの誘発頻度が高く、これは、損傷を受けた細胞を排除されやすいことを示唆する。今後、放射線誘発がんを抑制するか検討する。
日本放射線影響学会第60回大会

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