Presentation メダカ精巣をモデルとした低線量率放射線被ばく影響の解析

永田, 健斗  ,  保田, 隆子(東京大)  ,  浅香, 智美(東京大)  ,  舟山, 知夫  ,  鈴木, 芳代  ,  藤原, 智子(大阪大)  ,  藤堂, 剛(大阪大)  ,  尾田, 正二(東京大)  ,  三谷, 啓志(東京大)

2017-10-27
Description
小型のモデル魚類であるメダカ (Oryzias latipes) は、古くから放射線の生物影響の実験モデルとして使用されてきた。メダカの精原細胞は放射線高感受性であり、さらにp53を欠損するメダカではガンマ線(10 Gy)の急性照射によって卵様細胞(精巣卵)が精原細胞から誘導される(Yasuda et al., 2012)。 本研究では、ガンマ線の低線量率(3.33 mGy/min)照射を行い、照射の一定期間後に精巣の組織切片を作製して精巣卵の出現を検証した。多数の精巣卵が誘導されたp53欠損メダカ精巣において、線量(100~500 mGy)依存的に正常なA型精原細胞が減少し、精巣卵が誘導された。野生型精巣においてもガンマ線(100 mGy)照射7日後にごく少数の精巣卵の誘導を確認し、野生型においては、p53依存性アポトーシス経路で放射線に被ばくした精原細胞は排除または修復がされていたことが考えられた。500 mGyのガンマ線を分割照射したp53欠損および野生型のいずれにおいても、高線量急性照射時と異なり、照射28日後において精巣卵が残存しており、精巣卵がより長期にわたって維持されることが明らかとなった。 本研究により、当初の予想に反して低線量率の照射によって精巣卵が明瞭に誘導されることが明らかになった。メダカにおける放射線誘発性精巣卵は精原細胞が受けたDNA損傷によって誘導されることが考えられるが、誘導メカニズムは未知であるためその解明を急ぐべきである。さらにp53欠損メダカにおける精巣卵誘導は再現性が非常によく、定量的評価が可能である。従って、従来は顕在化できなかったために評価していなかった低線量率放射線の慢性被ばくの潜在的な生物・環境リスクを高感度・高再現性で評価する指標となることが期待できる。
日本放射線影響学会第60回大会

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