会議発表用資料 炭素イオン線を照射した水溶液の水溶化2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジルラジカルによるレドックス評価

中西, 郁夫  ,  山下, 真一  ,  下川, 卓志  ,  関根, 絵美子  ,  上野, 恵美  ,  小川, 幸大  ,  松本, 謙一郎

2017-10-26
内容記述
【目的】重粒子線のブラッグピーク手前の低線エネルギー付与(LET, Linear Energy Transfer)領域における酸化還元(レドックス)状態を定量的に評価することは、重粒子線がん治療をさらに高度化する上で重要である。我々は最近、有機溶媒中でレドックスプローブとして使用されている2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカルをβ-シクロデキストリンを用いて水溶化することに成功した(Nakanishi I, et al. Chem Commun 2015;51:8311)。そこで本研究では、この水溶化DPPHラジカルを用い、低LET炭素イオン線を照射した水溶液のレドックス状態の評価を行った。【方法】炭素イオン線(1〜20 Gy, 290 MeV/nucleon, 13.3 keV/µm)は放医研のHIMACにより照射した。X線(1〜20 Gy, 200 kV, 20 mA, 0.5 mm Cu + 0.5 mm Al, 1.79 Gy/min)は島津Pantak HF-320を用いて照射した。【結果と考察】水溶化DPPHラジカルの水溶液に炭素イオン線を照射すると、線量依存的にDPPHラジカルに由来する527 nmの吸収が減少した。線量に対して527 nmの吸光度をプロットすると直線が得られ、その傾きは-3.2 × 10(-3) Gy(-1)となった。X線を照射した場合にも同様の線量依存性が観測され、傾きは炭素イオン線の場合とほぼ同じ値(-3.8 × 10(-3) Gy(-1))となった。以上の結果から、低LETの炭素イオン線を照射した水溶液のレドックス状態は、X線を照射した場合とほぼ同じであることが明らかとなった。β-シクロデキストリン非存在下、水の代わりに有機溶媒を用いた場合にも同様の検討を行ったので併せて報告する。
日本放射線影響学会第60回大会

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