Presentation 放射線照射によるミトコンドリア動態変化の観察

木村, 由佳  ,  横谷, 明徳

2017-09-03
Description
 放射線の与える細胞影響については、DNA損傷や損傷の修復過程に焦点を当てて数多くの研究が行われている。しかし、DNAに焦点を当てているこれらの研究では細胞質の放射線影響は考慮されていない。そこでDNAだけでなく細胞質の影響についても明らかにする必要があると考えた。細胞質中には多様な細胞小器官が存在するが、その中でもミトコンドリアは広範囲に存在しているため放射線ヒットを受ける重要な標的のひとつになると考えられる。ミトコンドリアは独自のDNAをもち、細胞とは独立して盛んに分裂や融合を繰り返している。また、主な機能であるATP産生以外にもアポトーシスの誘導、カルシウムの貯蔵などにも関与することが知られており、生体には欠かせない器官である。そこで私たちは細胞質の中でもミトコンドリアに注目して、ミトコンドリアの動態変化が引き起こす細胞影響を明らかにし、照射細胞内のストレス応答解明を目指す。 ミトコンドリアの動きという情報は今までの研究にはなかった新たなアプローチとなりうる。ミトコンドリアは生体内での様々な役割を果たすために対応する場所へ動いていると考えられているが、短い時間においてもバクテリアのように激しく動いている。このような短い時間での動きが細胞の生存に関わるのかについては未解明な部分が多い。また、動物細胞においてミトコンドリアの動きには微小管やモータータンパク質が関わっていることが知られている。微小管はα-チューブリンとβ-チューブリンの二つのタンパク質で構成されたチューブリン二量体が重合してできる原繊維が集まった筒状の繊維である。微小管がミトコンドリアの動きに関わっているのならば、チューブリン二量体の重合を阻害することがミトコンドリアの動きに影響を与えると考えられる。本研究ではミトコンドリアの動きが放射線感受性に関与するのかについて調べることを目的とし、チューブリン二量体の重合を阻害する阻害剤を用いてミトコンドリアの動きを止めた状態での放射線の影響を明らかにしたい。
平成29年度専門研究会

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