Presentation X線照射された細胞におけるCa2+濃度の変化

小林涼香  ,  横谷, 明徳

2017-09-03
Description
Ca2+は、細胞内において情報伝達を担うセカンドメッセンジャーとして機能する。通常、細胞内のCa2+は主に細胞内Ca2+貯蔵部位の小胞体で保持され、細胞外に比べて低濃度で保たれている。Ca2+は細胞外からの刺激によって小胞体から放出され、一時的に細胞内のCa2+濃度は上昇し、その後下降する。この濃度変化が周期的に起こる現象はカルシウム振動と呼ばれており、様々な生理現象に関与している。一方、哺乳動物の培養細胞に低線量放射線をあらかじめ照射(前照射)すると、その後の高線量放射線照射(本照射)に対し、放射線耐性が誘導されることが知られており、この事象は放射線適応応答と呼ばれる。この放射線適応応答の誘導には複雑な反応ネットワーク経路が存在しており、その制御にCa2+も関与していると推測される。本研究では、放射線刺激によっても細胞内においてCa2+の一時的な放出や濃度変化が誘発されるか否かについて注目する。また、放射線刺激がCa2+濃度変化を誘発することで、その後の放射線耐性を高める可能性を検討する。今回はこれまで放射線適応応答が誘発されることが確認されているマウス細胞(m5S)を試料として用い、X線刺激(3Gy、10Gy) 及びATP刺激に対する応答を調べた。コントロールは、いずれの刺激も与えないものとした。各刺激を与える前にCa2+特異的な蛍光プローブ(Fluo-4)を導入し、発色する蛍光を、蛍光顕微鏡を用いて観察した。刺激後数10分毎にインキュベータから細胞を取り出して90分間継時観察したところ、どのサンプルもほぼ細胞質のみ蛍光を発した。コントロールと比べるとどの刺激に対しても刺激を与えた直後の蛍光は強く、サンプル間で有意な差異は見られなかったため今後サンプル数を増やして検討する必要がある。また、数分あるいは1分以下の短い時間スケールでカルシウム振動が生じている可能性があるため、今後顕微鏡下で細胞をライブセル観察するタイムラプス測定が必要となると考えられる。
平成29年度専門研究会

Number of accesses :  

Other information