会議発表用資料 相対論的透明化領域におけるクラスター内無衝突衝撃波による 290 MeV準単色プロトン加速

松井, 隆太郎  ,  福田, 祐仁  ,  岸本, 泰明

2017-03-19
内容記述
我々は、量研機構関西研J-KAREN-Pレーザーの特性を最大限に生かした、高繰り返しで、超高純度プロトンビームの開発を目指して、サブミクロンサイズの水素クラスターターゲットの開発に着手し、これまでに、半径0.17~1.0 umの水素クラスターの生成に成功している。先行する理論・シミュレーション研究により、1.0×10^22 W/cm^2の集光強度において、サブミクロンサイズの水素クラスターは非等方クーロン爆発を起こし、前方に100 MeV以上にまで加速されたプロトンが生成することが明らかにされている。本研究では、J-KAREN-Pとサブミクロンサイズの水素クラスターターゲットとの相互作用によるイオン加速実験を想定し、相対論的電磁粒子コードEPIC3Dを用いて、クラスターターゲット(半径0.4,0.6,0.8,1.0 umの単一水素クラスター+背景水素ガス)と、パルス幅33 fs(FWHM)、波長810 nm、直線偏光で最大集光強度が1.0×10^22 W/cm^2の高強度レーザーとの相互作用を模擬する3次元シミュレーションを行い、クラスター中での、レーザー光の伝播プロセス、衝撃波に由来する電場構造、および、得られるプロトンの最大エネルギーについて調べた。クラスター表面のレーザー照射側に生成した無衝突衝撃波は、クラスターの球としての特性により、クラスターの中心に向かって荷電粒子(電子、および、イオン)を取り込みながら伝播する。したがって、荷電密度は伝播とともに大きくなり、クラスター中心で衝撃波によって生成される静電ポテンシャルの値も大きくなる。この静電ポテンシャルにより、衝撃波上流のプロトンは反射・加速される。一方で、電子の相対論効果により、実効的なカットオフ密度、および、スキン長が大きくなることで、集光強度の上昇とともにレーザーは衝撃波に対して徐々に透明となり、衝撃波の構造は失われ、衝撃波による加速が終了する。半径が0.8 umの場合、静電ポテンシャルは、衝撃波に対するレーザーの透明化が起こる前に、プロトンの反射・加速に充分な大きさに成長する。反射されたプロトンの集団は、クラスターのクーロン爆発より大きな速度でクラスターから前方に飛び出す。これらのプロトンは、クラスターのクーロン爆発電場により追加速され、クラスターのクーロン爆発の特徴であるカットオフ成分(200 MeV)とは独立に、290 MeVに達する高エネルギー準単色成分(δE ~7%)を形成する。
日本物理学会第72回年次大会

このアイテムのアクセス数:  回

その他の情報