会議発表用資料 標準粉体を使った再飛散実験に関する研究(その1)

金, 敏植

2016-08-24
内容記述
1.はじめに空気中に飛散している粒子は様々な固体表面に沈着されるが、振動や風などの影響より再飛散される。例えば、健康被害を及ぼすウイルス、放射性物質、花粉、黄砂なども粒子の形で気中を輸送され人の髪や服などに沈着され、一部は再飛散する。そのため、粒子の動きを把握することは健康被害を抑えることに繋がる。そこで、本報では粒径が違う粉体がさらに被覆の異なる固体表面に沈着されたとき、風速変化とともにどれぐらい再飛散が起きるかを確認するのちナフタレン昇華法参1)により物質伝達率の測定を行い再飛散率と物質伝達率の相互関係を調べることを目的に風洞実験を試みた。2.実験概要実験で使用した風洞は、東京大学生産技術研究所属の境界層型風洞で、測定部の長さが16.5m、幅が2.2m、高さが1.8m、最大風速は25m/sである。再飛散実験を行う前に図1のようにI型プローブ風速計(ダンテック社製、55P11)を用い、風速の鉛直プロファイルを測定して風速分布を把握した(図2)。再飛散については、JIS試験用粉体I-4種、JIS試験用粉体I-17種を使った。粒径は粉体I-4種がI-17種に比べると大きい粒径を分布している。(以下、I-4種:粒径大、I-17種:粒径小と表記する。)粒径の分布は表1に示す。また、物質伝達率の測定にはナフタレン参1)を用いた。図3のように5cm*5cmの土台の上に繊維、木材、ナフタレンをつけ、さらに繊維、木材の試験体の表面には粉体を上からかけ表面全体に沈着させてから試験体をひっくり返し底面を5回ずつ叩いて粉体が表面一様に分布するようにした(図4)。風洞に入れる前には試験体をミクロ天秤で重さを測定し暴露後、重さの再測定を行い、飛散量を算出した。それぞれ風速を1m/s、2m/sに設定し試験体を20分間ずつ暴露させた(図5)。3.風速違いによる再飛散の関係被覆状況及び風速によって再飛散率が異なり、特に床板のような表面が粗い材質は飛散率が高いと予測されていた。しかし、今回の結果(図6)では繊維の場合、粒径小と粒径大ともに風速の増加につれ飛散量も増えてきたが、両者の違いが極に少ない。一方、板の場合には粒径小の風速1m/sのとき、粒子が増えてしまう結果になり、風速による再飛散率の増加はみられなかった。4.再飛散率と物質伝達率の関係ナフタレン昇華法参1)により物質伝達率の測定を行いその結果を式1により求めた。またその結果と再飛散率との関係を比較したのが図7である。繊維の場合は、粒径の小と大ともに物質伝達率が大きくなりにつれ再飛散率も大きくなったのが確認できた。しかし、板の場合はそのような両者の相関はみられなかった。5.まとめ本研究では風洞実験により、粒径分布の違う粉体が被覆の異なる固体表面に沈着されたとき風速によってどれぐらい再飛散が変化するかを確認した。また、ナフタレン昇華法により物質伝達率の測定を行い再飛散率と物質伝達率の相互関係を調べ、相互関係については以下の結果を予想していた。①被覆状況及び風速によって再飛散率が異なる。特に、床板のような表面が粗い材質は飛散率が高いと予測される。②物質伝達率が高くなると再飛散も高くなると予測される。③物質伝達率及び粒径で強い相関を見出される。④粒径が小さければ物質と良い相関を持つが、粒径が大きいと表面近似でのブラウン拡散の影響で再飛散率が低下する。しかし、実験条件(粒子の沈着方法、風速、暴露時間など)の影響により予測結果には至らなかった。今後は物理的に妥当な結果を出すため風速大きさ、暴露時間を変えて行う予定である。
2016日本建築学会大会

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