Presentation トリチウムを除去・回収する疎水性触媒の開発

岩井, 保則  ,  枝尾, 祐希  ,  佐藤, 克美  ,  近藤, 亜貴子  ,  久保仁志  ,  大嶋優輔

2016-07-14
Description
トリチウムの酸化処理用途に開発した疎水性白金触媒TKK-H1Pは無機物であるSiO2担体の表面を疎水性官能基で化学的に修飾し、触媒金属としてPtナノ粒子を担持した触媒である。一般に触媒を用いた水素の室温近傍での酸化は水素濃度の依存性がある。水素濃度が高い場合は一般触媒を用いても室温にて水素酸化は可能であるが、核融合炉施設において対象とする自然の空気中に含まれる水素濃度よりも濃度が低いトリチウムは室温で燃焼させるのが極めて困難であった。また低濃度トリチウムの燃焼では反応熱による触媒自身の温度上昇が起こらず、従って反応の促進も望めない。TKK-H1Pは高度な疎水性から反応により生成する水蒸気の影響を受けず、室温・水蒸気雰囲気下でのトリチウム酸化を実現した。TKK-H1Pの疎水性は500℃まで加熱しても維持され、500kGyという高線量の放射線に曝されても疎水性官能基が分解しないことを確認している。本触媒はその画期的な性能からITERのトリチウム除去設備用触媒として注目されている。トリチウム酸化用疎水性触媒はトリチウムのような空気中の水素濃度が極低濃度の場合の酸化活性向上に向けて触媒表面に担持する白金の粒子形状を再設計することで大幅な性能向上に成功したTKK-KNOITSや、軽水炉分野向けに耐ハロゲン性、特に耐ヨウ素性を付与した白金-パラジウム合金型疎水性触媒の開発にも成功している。トリチウム水濃縮処理用途に最適化した疎水性触媒は青緑色を呈することから「翡翠」の英語名よりTKK-JADEと命名した。TKK-JADEは新型転換炉ふげんの重水精製に使用されてきた疎水性高分子を母材とした触媒の水素同位体交換性能を大きく上回り、トリチウムβ線に対する耐久性、安全システムに適用するに十分な耐熱性を兼ね備えるに至った。これら疎水性触媒技術は粒状の触媒だけではなく、金属ハニカム、コージェライトハニカム、シリコンカーバイトなどのセラミックハニカムを基材とする規則成形型疎水性触媒の作製にも応用できることを確認した。今後、水素をエネルギー源として使用する水素社会の到来が見込まれる中、一般水素取扱い施設の安全性向上に向けても、本疎水性触媒技術は活躍の場を有しているものと期待している。
第11回核融合エネルギー連合講演会

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