会議発表用資料 Rapid phase-correlated rescanning irradiation improves treatment time in carbon-ion scanning beam treatment under irregular breathing conditions

森, 慎一郎

2016-04-15
内容記述
1.背景・目的2015年春より、当施設では体幹部炭素線スキャニング治療を開始した。呼吸性移動を伴う腫瘍に対して、Motion management を適応しないスキャニング照射では、Interplay effectやinterference effectにより、線量均一性が著しく低下する。そこで、治療計画で指示した線量分布を実現するために、リスキャン(rescanning)、位相制御(phase-control)、そして飛程変化を考慮した標的体積の決定(range-ITV)という技術を用いることで、上記の問題を解消した。しかし、位相制御は、1呼吸周期で1つのエネルギーレイヤーしか照射しない。ゆえに、標的体積の大きさにより照射時間は影響を受けることとなる。照射時間が長くなることで、患者呼吸パターンの変化、患者への負担の増加、治療患者数の制限などの課題が発生する。そこで、照射時間短縮のための照射方法を検討し、実治療に近い状況を踏まえて不規則性呼吸下における線量分布を評価した。2.方法本件では、エネルギーレイヤー毎に照射する方法を採用した。呼吸波形に対してある閾値以下の波形位置で治療ビームオンとなる時間をgating window(GW)と呼ぶ。従来PCR(conventional phase-controlled rescanning: cPCR)法: GWの開始終了時間に合わせて1つのエネルギーレイヤーをリスキャン照射する1。ゆえに、標的体積のレイヤー数×呼吸周期が、照射時間の公称値となる。高速PCR法(rapid PCR: rPCR): 1つのGWで、2つのエネルギーレイヤーをリスキャン照射する方法である。これにより、cPCRの半分の照射時間を実現できる。 PCRを実施するためには、治療計画時に設定した呼吸周期とGW範囲から、レイヤー毎の線量率を決定する。それ故、治療中に呼吸周期が変化した場合でも、線量率の変更等は行わず、事前に決定した照射パターンを実行する。我々の事前評価によると、呼吸性移動を伴う腫瘍に対して、リスキャン4回以上のcPCRでは、標的体積内の線量均一性が担保されることが分かっている。本件では、リスキャン回数は8回とした2,3。肺、肝それぞれ6例の合計12例の4DCTデータを用いて、4次元炭素線スキャニング線量分布を計算した。より実際に近い治療状況下での評価を行うため、患者呼吸波形データを用いて評価を行った。GWはT20-T70とし、呼吸性移動量が大きい条件とした。呼吸同期照射は、呼気相で照射という呼吸位相同期ではなく、GW内の腫瘍位置に治療中の腫瘍位置が移動したときに、照射する位置同期法とした。 肺と肝の処方線量は48Gy(RBE)/4fields/1fr、45Gy(RBE)/2fields/2frとした。線量評価は、CTVに対するD95, Dmax, Dmim, HI(homogeneity index)とした。複数門の合算線量分布により線量分布均一性が改善するため、線量評価は1門ずつの分布にて実施した。3.結果・考察肝臓のケースでは、cPCRにくらべ rPCRでは若干のhotスポットが生じたが、臨床上問題となる範囲ではない。また、CTV(clinical target volume)に対する線量評価指標結果(D95, Dmax, Dmin, HI)をTable1にまとめたが、cPCRとrPCRに顕著な差は見られなかった。一方、肺のケースにいても、cPCRとrPCRの線量指標の顕著な差は見られなかった(Table1)。肝と肺を合わせた線量評価結果は、D95, Dmax、Dmin (cPCR/rPCR)はそれぞれ96.3±0.9%/96.0±1.2%、 107.3±3.6%/107.1±2.9%、88.8±3.2%/88.1±3.1%であり、rPCRの実施によりcPCRとの顕著な線量分布変化は生じなかった。4.結論本件の結果により、十分なリスキャン回数を伴うrPCRと腫瘍位置同期を実施する事で、不規則性呼吸パターンであっても、呼吸性移動を伴う体積標的に対して、cPCRと同等の線量付与を実現することができる。これにより、照射時間短縮の可能性が示唆された。
第111回日本医学物理学会学術大会

このアイテムのアクセス数:  回

その他の情報