会議発表用資料 アスコルビン酸およびその誘導体のDPPHラジカル消去機構に対する溶媒効果

中西, 郁夫  ,  上林, 將人  ,  小川, 幸大  ,  小澤, 俊彦  ,  松本, 謙一郎

2016-06-12
内容記述
【目的】2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカルは活性酸素種のモデルとして抗酸化物質の活性評価に広く用いられているが、水に溶けないという欠点があった。我々は最近、β-シクロデキストリン(β-CD)を用いることでDPPHラジカルを水溶化することに成功した(Chem Commun 2015; 51: 8311)。そこで本研究では、抗酸化物質の活性酸素種消去メカニズムに対する溶媒効果を解明する目的で、種々の溶媒中におけるアスコルビン酸およびその誘導体のDPPHラジカル消去反応を速度論的に検討した。【方法】DPPHラジカル水溶液は、DPPHラジカルとβ-CDに熱湯を加え、室温まで冷却した後、孔径0.22 μmのメンブレンフィルターでろ過することにより調製した。反応の追跡にはユニソクRSP-1000-02NM型ストップトフロー分光測定装置を用いた。【結果】アスコルビン酸によるDPPHラジカル消去反応の擬一次速度定数は、リン酸緩衝液(0.1 M, pH 7.4)中ではアスコルビン酸の濃度に比例して増加するのに対し、メタノール中ではアスコルビン酸濃度の増加に伴って増大し、やがて一定値に達した。アセトニトリル中、脂溶性を向上させたアスコルビン酸誘導体とDPPHラジカルの反応もメタノール中におけるアスコルビン酸の場合と同じ挙動を示した。【結論】アスコルビン酸のpKa値は4.1であることから、pH 7.4のリン酸緩衝液中では脱プロトン化したアスコルビン酸塩として存在し、これが効率良くDPPHラジカルを消去していることが分かった。一方、メタノールやアセトニトリル中では脱プロトン化が律速となって反応が進行していることが明らかとなった。また、アスコルビン酸よりもアスコルビン酸塩の方が顕著にラジカル消去活性が高いことが分かった。以上のように、水溶液中および有機溶媒中の両方でDPPHラジカルを用いることにより、細胞質や細胞膜のような異なった反応環境における抗酸化物質の作用メカニズムに対する情報を得ることが可能となった。
第16回日本抗加齢医学会総会

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