Presentation ヘルメットPET実証機開発

田島, 英朗  ,  吉田, 英治  ,  錦戸, 文彦  ,  脇坂, 秀克  ,  岩男, 悠真  ,  Abdella Mohammednur, Ahmed  ,  木村, 泰之  ,  田沢, 周作  ,  山谷, 泰賀

2016-01-15
Description
アルツハイマー型認知症などの脳疾患を発症前の早い段階で発見することが可能な診断薬の臨床応用が進められており、それに伴い頭部専用のPET(Positron Emission Tomography)装置(脳PET)の潜在的な需要が高まってきている。スクリーニング検査用の脳PETとして広く普及させるためには、1)高感度、2)高分解能、3)低コストであることが要求される。これまでにも、脳PET装置が開発されているが、それらは全てブロック検出器を円筒状に配置したものであった[1-6]。それに対して我々は、半球状の検出器配置で、ヘルメットのように近接させて頭頂部を覆うことで、同じ検出器数の円筒型PETと比較して、大脳部の感度を大幅に高められることを示した(図1)[7, 8]。さらに、あごの部分を覆うように検出器を追加することで、半球型の検出器配置のみでは円筒型配置の端部分と同様に低感度となる小脳部の感度を向上させることができる。本研究では、検出器を近接させることによる空間分解能の劣化を抑えるために、放射線医学総合研究所(放医研)で開発された4層DOI(Depth-of-Interaction)検出器[9, 10]を用いて、提案するヘルメットPETの実証機を開発した[11]。 図1 ヘルメットPETと円筒型PETの幾何学的感度解析結果2.方法図2に開発した実証機の写真と検出器配置の立体図を示す。ヘルメットPETは半球型のヘルメット部と、あごの周りを覆うように検出器を配置したあご部によって構成される。DOI検出器を用いて提案装置を実現するために、直径の異なる複数のリングを半球に接するように並べ、頭頂部では十字型に配置した。半球型のガントリーの内径は25 cmとした。そして、あごの部分には円弧状に配置した。DOI検出器は、高感度型の64ch光電子増倍管(PMT: Photo Multiplier Tube)(浜松ホトニクス社製R10551-00-64)と16×16×4配列のGSOZ結晶(2.8 mm×2.8 mm×7.5 mm)からなり、ヘルメット検出器47個、あご検出器7個の計54個用いた。 図2 ヘルメットPET実証機の写真と検出器配置の立体図 実証機のデータ収集システムではシングルイベントを記録し、後処理で同時計数イベントを抽出した[12]。エネルギーウィンドウは400 keVから600 keVとし、同時計数の時間窓は20 nsとした。開発した実証機を用いて、絶対感度及び空間分解能の評価と、3次元脳ファントムを用いたイメージング性能評価を行った。絶対感度と空間分解能評価では、中心から頭頂へのオフセット毎に、0.18 MBqの22Na点線源を5分間ずつ測定した。なお、中心は16検出器からなる第一リングの中心部とした。そして、FBP(Filtered Back Projection)法とLM-OSEM(List-Mode Ordered Subset Expectation Maximization)法によって画像を再構成した。ボクセルサイズは0.5×0.5×0.5 mm3とした。FBP法のフィルタ関数はカットオフなしのRampフィルタを用いた。また、LM-OSEM法では、検出器の応答関数を考慮したシステムマトリクスを使用し、サブセット数8、反復回数10とした。イメージング性能評価では、20 MBqの18F水溶液を3次元脳ファントム(モレキュラーイメージングラボ社製)に満たし、20分間測定した。減弱補正は事前に撮影したX線CT画像を手動で位置合わせすることで行った。偶発同時計数の補正は遅延同時計数によって行った。感度補正はガントリーの内側に合わせ、直径の異なる2つの円筒を重ねた形状のプールファントム(18F水溶液38 MBq)を12時間測定することで行った。散乱補正はヘルメットPETに適用可能なSSS(Single Scatter Simulation)法を新たに開発して適用した。3.結果・考察図3に絶対感度と空間分解能の評価結果を示す。装置感度は頭頂付近で10%以上、小脳部で5%であった。また、平均空間分解能(半値幅)は、FBP法で3.0 mm、LM-OSEM法で1.4 mmであった。放医研でこれまでに開発した頭部PETであるjPET-D4では、256ch PMT(浜松ホトニクス社製H9500)と16×16×4配列のGSO結晶(3.0 mm×3.0 mm×7.5 mm)からなるDOI検出器を120個用いており、中心感度は11%であったが[3]、ヘルメットPETではほぼ同程度の検出器54個で同等な最大感度を達成できることが示された。 図3 実証機の絶対感度と空間分解能図4に3次元脳ファントムを測定し、画像再構成であご検出器に関するデータを使用した場合(あご検出器あり)と、間引いた場合(あご検出器なし)について比較した。その結果、あご検出器の追加によって、特に半球底面部のスライスのノイズが低減されることが示された。 図4 あご検出器ありとなしの場合の3次元脳ファントムの再構成像の比較(数字はスライスの位置を示す)4.結論ヘルメットPET実証機開発により、提案装置によって、高感度、高分解能かつ低コストな脳PET測定が実現可能なことを示した。今後、検出器配置の最適化及び、検出器の最適化によりさらなる高性能化を目指す。参考文献[1]L. Eriksson, et al., “The ECAT HRRT: NEMA NEC evaluation of the HRRT system, the new high-resolution research tomograph,” IEEE Trans. Nucl. Sci., vol. 49, pp. 2085–88, 2002.[2]T. Yamaya, et al., “Transaxial system models for jPET-D4 image reconstruction,” Phys. Med. Biol., vol. 50, pp. 5339–55, 2005.[3]T. Yamaya, et al., “First Human Brain Imaging by the jPET-D4 Prototype With a Pre-Computed System Matrix,” IEEE Trans. Nucl. Sci., vol 55, pp. 2482-92, 2008.[4]S. Yamamoto, et al., “Development of a Brain PET System, PET-Hat: A Wearable PET System for Brain Research,” IEEE Trans. Nucl. Sci., vol. 58, pp. 668–73, 2011.[5]S. Majewski, et al., “HelmetPET: A silicon photomultiplier based wearable brain imager,” IEEE NSS&MIC Conf. Rec., pp. 4030-4034, 2011. [6]T. Omura, et al., “Development of a High-Resolution Four-Layer DOI Detector Using MPPCs for Brain PET,” IEEE NSS&MIC Conf. Rec., pp. 3560-3563, 2012.[7]H. Tashima, et al., “A Proposed Helmet-PET with a Jaw Detector Enabling High-Sensitivity Brain Imaging,” IEEE NSS&MIC, M11-11, 2013.[8]田島英朗, 他: あご検出器付ヘルメット型PET装置の提案, 平成25年度次世代PET研究報告書: pp. 74-75, 2014[9]T. Tsuda, et al., “A four-layer depth of interaction detector block for small animal PET,” IEEE Trans. Nucl. Sci., vol. 51, pp. 2537–2542, 2004.[10]Y. Hirano, et al, “Performance evaluation of a depth-of-interaction detector by use of position-sensitive PMT with a super-bialkali photocathode,” Radiol. Phys. Technol., vol. 7. pp. 57-66, 2014.[11]放医研プレスリリース, 2015/11/5, http://www.nirs.go.jp/information/press/2015/11_05.shtml[12]E. Yoshida, et al., “Development of a Singles-Based Scalable Data Acquisition System for the Whole-Body OpenPET,” IEEE NSS&MIC, M11-7, 2014
次世代PET研究会 2016

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