一般雑誌記事 PET用放射性薬剤開発の最新動向

永津, 弘太郎

内容記述
 陽電子断層撮影法(以下,PET)が研究上の1 ツールにとどまらず,がん診断や脳機能検査などを目的に,日々の臨床現場で広く利用されていることは周知のとおりである。PET 画像が与える視覚的な情報は,供与する医療の質を高めるとともに,受診者が自らの心身状態を把握する大きな助けにもなっていると推測される。 PET 用放射性薬剤について実験室的な説明が許されるならば,化合物(薬剤)としての化学・生物学的な性質・挙動と,ポジトロンならびに511 keV の消滅放射線を放出する,という異なる2つの特性が同一物質中に内在していると表現できる。われわれは,前者の特異性によって評価したい生体機能や疾病を限定し(ターゲッティング),後者によって体外からの計測・確認(シグナリング)を可能にしている。互いに独立させることもできる両特性は,放射性薬剤の分子設計に大きな自由度を与え,単なる構造上の差異だけでなく,薬理・薬物動態を意味する機能性分子の構築に貢献する。そして,この自由度こそが研究開発上の興味と動機の本質になっている。

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