Article 陽子線の標的核破砕反応のエネルギー依存性に関する実験的研究(2)

小平, 聡  ,  北村, 尚

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放射線治療に用いられる陽子線が人体内中に二次的に生成する標的核破砕粒子による余剰線量が懸念されている。標的核破砕粒子は、標的核のノックオンのほか励起状態からの蒸発過程など複雑な核反応による放出される。その中で飛程が短い非常に高いLET(線エネルギー付与)を持つ粒子については、人体に与える線量影響は無視できないと考えられる。従来の線量計測法では一次ビームと同時に放出される二次粒子の同時計測が難しいことや、LETスペクトルの実測が必要であることなどから、二次粒子の線量の定量的評価は行われていないのが現状である。本研究では、CR-39プラスチック固体飛跡検出器を用いることで、二次粒子によるイオントラックを記録し、それらのLETスペクトルの実測から定量的な線量評価の実施を進めている。大型サイクロトロンを用いた研究では、30MeVから70MeV程度の低エネルギー領域での二次粒子生成のエネルギー依存性を取得することを目的としている。HIMACで照射を行った160MeV陽子線の水中でのブラッグカーブに沿った二次粒子のLETスペクトルと、サイクロトロンで照射を行った単色の40MeVと60MeVのエネルギーでの二次粒子のスペクトルの比較では、水中LETで100keV/μm以下の領域で前者に明らかな増大を確認した。

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