Presentation 日本酒摂取の放射線影響修飾効果 

中島, 徹夫  ,  Vares, Guillaume  ,  王, 冰  ,  根井, 充

2015-12-16
Description
日本酒は日本では需要の高いアルコール飲料であり、世界にも拡がりつつある。ビールやワインも含め飲酒は多量に飲むことの害は広く知られているが、その効用についてもよく議論される。しかしながら、特に長期に渡る飲酒習慣が放射線のような他のリスク要因にどう関わるかについては明確で無い。ここではアルコール飲料の放射線影響への修飾効果について日本で馴染みの深い日本酒を用いて評価した。日本酒には様々な種類があるがここでは精米歩合を指標として2つの異なる精米歩合をもち、同じアルコール分15度をもつ日本酒(純米酒、純米大吟醸酒)を使用した。またアルコール成分の影響をみるためにエタノール希釈水(15%)も用いた。一ヶ月間、日本酒あるいはエタノール水を投与したマウスに放射線照射(分割照射総線量3Gy)を行ったマウス(C3H/Heマウス雌)における肝臓代謝物質、血清中の生活習慣病マーカーの評価を行った。肝臓に置ける代謝物の網羅的解析をCE-TOFMS(キャピラリー電気泳動—飛行時間型質量分析計)により行い、代謝物の変化を解析した。純米酒(精米歩合69%)では、主成分解析により肝臓において放射線との併用で他の群(コントロール群、放射線照射のみ、純米投与のみ群)とは別の傾向が示された。特にグルタチオン関連の代謝物質の変化が起こり、抗酸化状態が活性化されていることが見られた。一方でアルコール成分の影響評価としてエタノール水との比較においてはこのような併用による特徴的な傾向は示されず、またグルタチオン関連の抗酸化能の誘導は見られなかった。血清における変化をみると純米酒を飲むと中性脂肪量の顕著な増加がみられたが、放射線被ばくはその増加を抑制した。以上のことから生体内の放射線応答性は明らかに飲酒により変り、酒の種類によっては防御的に働く仕組みが活性化されていることが示された。また純米大吟醸酒(精米歩合35%)により行った修飾効果評価におけるメタボローム解析の主成分解析では飲酒、放射線被ばく併用時の特異的な変化はなく飲酒も放射線も独立した変化を肝臓代謝にもたらしていた。精米歩合の違いからこの差は米の磨かれて取り除かれる糠の部分に修飾効果をもつ因子が含まれることが示唆される。さらに検討した肝臓代謝物質、血清における純米酒、純米大吟醸酒の効果を含め、飲酒の放射線への修飾効果を主に肝臓の代謝物質変化からみた結果を概観し、飲酒の健康影響、放射線影響への効果を紹介し議論したい。
放射線防護研究センター•福島復興支援本部合同シンポジウム

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