Presentation トウホクサンショウウオ Hynobius lichenatusの捕獲個体で観察された繁殖行動

添田, 晴日  ,  府馬, 正一

2015-12-05
Description
トウホクサンショウウオHynobius lichenatus は,東北地方に広く分布する小型サンショウウオである.本種は地上棲動物だが,冬眠直後の繁殖期になると水場へ移動し,水中で繁殖する.本種の繁殖生態についてはいくつか研究があるものの,繁殖行動そのものについては学術的報告がない.今回我々は,採集したトウホクサンショウウオが水槽中で行った繁殖行動を確認し,その動画を撮影したので,概要を報告する. 2015年5月10日に福島県会津地方で,繁殖地の水場に集まってきていた未繁殖のトウホクサンショウウオ,オス7個体メス6個体を採集した.これらの個体を千葉県の放射線医学総合研究所へと輸送し,5月12日の15時過ぎに簡易繁殖用水槽へ投入したところ,投入直後よりメス4個体が立て続けに産卵を始めた.この内2例について,産卵開始からオスの放精終了までを観察し,動画を撮影した.トウホクサンショウウオの繁殖行動は,1)メスが枝に総排出口を擦り付け,卵嚢の粘着端を固定する2)オスの一頭がメスに抱き付く3)オスが複数集まってきてメイティングボールを形成し,卵嚢を奪い合う3)オスが卵嚢を掴み,メスの体を蹴って押しやり体内から卵嚢を引き出す(助産行動)4)卵嚢の各対を別々のオスが独占する5)独占オスが放精を行う,という一連の行動から構成されていた.これらの行動は同属他種の小型サンショウウオでも観察例があり,止水性小型サンショウウオで普遍的に見られる行動である可能性がある.
日本爬虫両棲類学会 第54回大会

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