Presentation 2014年5月に福島沿岸域で採取した 堆積物中の粒径別の放射性セシウム濃度

福田, 美保  ,  山崎, 慎之介  ,  青野, 辰雄  ,  吉田, 聡  ,  高澤, 伸江  ,  石丸, 隆  ,  神田, 穣太

2015-09-27
Description
1. はじめに  2011年3月に発生した福島第一原子力発電所 (福島第一原発) 事故から4年が経過し、環境中へと放出された放射性物質は、海水を通じて海底堆積物にも移行した。2015年7月現在、福島第一原発から半径20 km圏内における堆積物表層部 (深さ 0-3 cm) の137 Cs濃度は、事故前の10倍程度の濃度まで減少しているが、その時間変動幅は海水に比べて大きい (東京電力, 2015)。河川堆積物中の粒径別放射性セシウム (Cs) 濃度は、粒子の重量あたりの面積 (比表面積) と比例関係にあり、比表面積の大きい、すなわち粒径の小さい粒子ほどCs 濃度が高い傾向にある (He and Walling, 1996など)。福島県 真野川河口域の堆積物において、放射性Cs濃度の測定値に粒径の違いによる濃度補正を行った結果、補正後の放射性Cs濃度の測点間のばらつきが著しく小さくなったことが報告されている (環境省, 2013)。従って、様々な大きさの粒子から構成される沿岸堆積物中の放射性Csの濃度の水平分布や鉛直分布の測点間の比較を行うためには、粒子組成の違いを考慮に入れる必要がある。そこで本研究では、堆積物中の粒径別の放射性セシウム濃度から、分布要因や挙動を明らかにすることを目的とした。2. 試料採取および方法 試料は、東京海洋大学 練習船「海鷹丸」(UM14-04:2014年5月) 航海で福島第一原発から半径30 km圏内と小名浜沖 (水深 60-190 m) にてマルチプルコアラーを用いて採取した堆積物を用いた。試料は、厚さ 1 cmごとに分割し、乾燥したのちに篩を用いて、礫 (2 mm 以上)、極粗粒砂 (1 mm から2 mm)、微粒から粗粒砂 (0.063 mm から1 mm)、シルトから粘土 (0.063 mm以下) に分けた。それらの粒径ごとにゲルマニウム半導体検出器を用いてセシウムなどの放射性核種の測定を行い、セシウム濃度は試料採取日に補正を行った。3. 結果および考察 採取した堆積物から検出された人工放射性核種は、134Csと137Csであった。堆積物中 (0-10 cm) の礫の割合 (%) は0から23、極粗粒砂で0から39、微粒から粗粒砂で33から98、シルトから粘土で0から66で、シルトから粘土の割合は、南側の測点で北側よりも高かった。堆積物中の137Cs濃度 (Bq kg-1-dry) は、礫で6.3 から7.3、極粗粒砂で0.82 から17、微粒から粗粒砂で8.5から609、シルトから粘土で18から1487で、微粒から粗粒砂とシルトから粘土の深さ方向での137Cs濃度の変動幅は、礫や極粗粒砂よりも大きい傾向にあった。堆積物のバルクの137Cs濃度に対する各粒子の137Cs濃度の寄与率 (%) は、礫で13 から21、極粗粒砂で3.7 から40、微粒から粗粒砂で30から99、シルトから粘土で1.6から70で、測点間や深さ方向での変動が大きかった。重量割合が70 % 以下とそれほど高くないシルトから粘土の137Cs濃度が他の粒径の粒子よりも高い理由は、比表面積が大きいことや放射性Csを吸着する粘土鉱物の割合が多いためであると考えられる。一方、バルク堆積物中の各粒子の寄与率は、137Cs濃度と重量割合を用いて算出される。微粒から粗粒砂の137Cs濃度はシルトから粘土よりも低いが、重量割合が多いために寄与率が最も高いと考えられる。さらに、全測点での堆積物表面 (深さ 0-1 cm) での各粒子の137Cs濃度と粒子表面積との関係から回帰曲線を引いた結果、粒子表面積の0.58乗に比例して増加していた。この乗数は、これまで河川や湖沼堆積物における粒度補正で用いられている0.65 (He and Walling, 1996など) に近い値となった。発表では、粒度補正を行った効果について報告する。
日本海洋学会2015年度秋季大会

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