一般雑誌記事 認知機能とカルシウム ー基礎と臨床ー

樋口, 真人

内容記述
1) アルツハイマー病に代表される神経変性型認知症では、アミロイドペプチド(amyloid-β:Aβ)やタウタンパクの凝集体が特徴的病変として脳内に蓄積する。2) 樹状突起スパインにおいて、Aβは代謝賦活型グルタミン酸受容体5型(metabotropic glutamate receptor type 5:mGluR5)のシナプスへの集簇を促し、タウはN-methyl-D-aspartate (NMDA)受容体のリン酸化を強めることが知られている。その結果、mGluR5とNMDA受容体の連結強化と神経細胞内へのカルシウム流入が生じる。3) mGluR5の集簇や、NMDA受容体との連結の変化は、mGluR5に特異的に結合する放射性リガンドを用いることで、ポジトロン断層撮影(positron emission tomography:PET)により画像化可能で、カルシウム恒常性破綻を反映するバイオマーカーがもたらされると見込まれる。4) 興奮性シナプス変性の病期に応じて、mGluR5やNMDA受容体を標的とする認知症治療薬が効果を発揮すると考えられ、どの薬剤をどのタイミングで用いるかを検討する際に、PETによる評価が有用となりうる。

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