会議発表用資料 放射線応答性ナノ粒子によるタンパク質機能制御

村山, 周平  ,  新井, 和孝  ,  錦戸, 文彦  ,  バカロバ, ルミアナ  ,  山谷, 泰賀  ,  佐賀, 恒夫  ,  加藤, 大  ,  青木, 伊知男

2015-05-20
内容記述
【目的】タンパク質をはじめとした各種生理活性物質の機能する場所やタイミングの正確な制御によって、生体の恒常性は保たれており、そのバランスが崩れることで、疾患が引き起こされる。その乱れたバランスを修正することで、疾患の予防や治療が期待できることから、生理活性物質を直接疾患部位に送達し局所的に機能させる様々な方法が開発されている。一般的には光・熱等の外部信号によって、標的の疾患部位に限定した機能発現が試みられているが、そのような外部信号は皮膚・筋肉などの生体組織に阻まれるため、生体深部に存在する病変部位でのタンパク質機能発現は困難である。この課題を解決するべく、本研究では、放射線の持つ生体組織を透過する性質を生かして、タンパク質機能発現のトリガーとしてγ線を用い、過去に蛍光・MRIのデュアルイメージングプローブとして用いたナノ粒子を基本構造として、生体深部でも適応可能な生理活性物質の放出制御法の開発を目的とした。【方法】以前の研究で蛍光・MRIのデュアルイメージングプローブとして開発したナノ粒子の材料であるX字型架橋剤に、γ線刺激によって内包分子を放出するために放射線開裂基であるジスルフィド結合を挿入した架橋剤PEG-SS-Acを設計・合成した。本架橋剤をタンパク質(酵素)共存下で重合させ、酵素内包放射線応答ナノ粒子を調製した。調製したナノ粒子に放射線を照射し、放射線照射前後での粒子径の変化をDLS(Zetasizer Nano, Malvern)で測定すると共に、内包した酵素の放出を、基質分解による蛍光強度(InfiniteM200Pro, TECAN)により評価した。【結果・考察】 調製した粒子径180 nm放射線応答ナノ粒子は、γ線照射(10 Gy)によって120 nmまで分解し、内包していた酵素を放出した。さらに生体モデルとして、線源とナノ粒子との間に肉塊を配置した状態で照射した結果、肉塊の存在による放射線の強度の減少(約8 Gyまで減少)による酵素の放出・活性発揮に影響が見られなかった。したがって本ナノ粒子は、生体深部での生理活性物質の放出制御に利用できると期待される。また本ナノ粒子ゲルは、ゲルの網目構造によって様々な種類の色素・造影剤を容易に包含することができ、(J. Mater. Chem. B, 1, pp4932-4938, 2013, )さらに、網目構造自体に化学的に色素・造影剤を結合させることも可能であることから、生体内での分子プロセスの可視化のためのイメージングプローブとしても高い将来性を期待できる。
第10回日本分子イメージング学会総会・学術集会

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