Departmental Bulletin Paper 日韓企業の企業内貿易の決定要因に関する実証研究

王, 忠毅  ,  オウ, チュウギ  ,  WANG, CHUNG I.

62 ( 3・4 )  , pp.231 - 262 , 2016-03 , 西南学院大学学術研究所
ISSN:02863324
Description
1980年代中頃から、プラザ合意による急激かつ大幅な円高傾向を契機に日本企業は積極的に海外直接投資を行なって生産拠点を海外にシフトしてきた。その結果、日本企業は東南アジアをはじめ、中国を中心に国際生産ネットワークを構築し、国際事業展開を拡大・深化させてきた。これに対し、韓国企業は1990年代に入ってようやく海外直接投資を徐々に展開し、1997年のアジア通貨危機を機に低迷が続いたが、国際通貨基金(IMF)の管理下で行なわれた金融構造改革などによって通貨危機不況を乗り越え、2000年に海外直接投資額が50億ドルを超え、2006年に100億ドル、2007年に200億ドルを突破した。その後、韓国企業の海外直接投資は2008年のアメリカ発の金融危機以降やや停滞したが、2011年に再び増加に転じた。積極的な直接投資を行なっている韓国企業は日本企業と同じくアジアを中心とした生産拠点を構築している(王[2015])。こうした日韓企業は生産コストの削減、生産効率性の向上、新規市場開拓、為替レートの変動による輸出の不採算など様々な要因でアジアを中心とした新興国で積極的な国際 生産分業を行なうことによって企業内貿易を大幅に増加させている。日本企業による海外直接投資は1980年代中頃から、韓国企業のそれは2000年代初頭から本格的に増加しはじめた。海外進出の本格化時期をみると日本企業と比べ韓国企業の海外直接投資の歴史や経験は相対的にまだ初期段階にある。しかし、日韓企業の海外現地法人の輸出入における企業内貿易の構造をみると、それぞれの海外現地法人の輸出入総額に占める企業内貿易の割合はともに30%~40%に達している。日韓企業による海外直接投資の歴史や経験が大きく異なっているにもかかわらず、それぞれの海外現地法人の企業内貿易の割合は互いに大きな差異がみられない。それぞれの企業内貿易の構造をみてみると、2012年現在日本海外現地法人による企業内貿易(35.4%)は「本国本社企業向けの13.8%」と「現地関係企業向けの21.6%」から構成され、韓国海外現地法人による企業内貿易(40.3%)は「本国本社企業向けの29.7%」と「現地関係企業向けの10.4%」から構成されている。韓国企業と比べると、日本企業は本国への逆輸入が比較的少ない代わりに、中国、ASEANなどを中心とした新興国での企業内国際分業が急速に拡大している。そして日本企業と比べると、韓国企業は本国への逆輸入が比較的多く、本国の本社企業を中心とした分業体制に重点を置いている(王[2015])。つまり、日韓企業における企業内貿易の動機と目的は大きく異なっている。したがって、それぞれの企業内貿易に影響する決定要因は大きく相違していると考えられる。本稿の目的は海外直接投資時期、その発展段階、企業内貿易の構造が異なることによる日韓企業の企業内貿易の決定要因の相違点を検証することにある。具体的に、第2節では日韓企業の海外直接投資の発展段階および企業内貿易の差異を概観する。第3節では企業内貿易の決定要因に関する先行研究をサーベイしながら仮説を立てる。第4節では2001年から2010年にかけての企業内部取引に関するセグメント情報を公表する日本製造業企業529社(日経NEEDS Financial QUEST)と韓国製造業企業356社(韓国企業情報データベース(KOCOinfo))をサンプル企業として企業内貿易に影響する要因を統計的に検証する。最後に第5節では本稿の結論が述べられる。
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