紀要論文 先行需要情報を用いた生産在庫システムの シミュレーション分析

王, 暁華  ,  オウ, ギョウカ  ,  WANG, XIAOHUA

62 ( 1 )  , pp.53 - 74 , 2015-07 , 西南学院大学学術研究所
ISSN:02863324
内容記述
先行需要情報(Advance demand information, ADI)は,出荷に先行して顧客から受け取る注文情報のことである。注文の到着から納期までの時間は需要リードタイムと呼ばれる。ADIはさまざまな形で存在している。たとえば,メーカーがサプライヤーに提示する内示計画はADIの一種である。オンラインショップが受け取った顧客の注文もADIといえる。また,ADIを活用することがサプライチェーンの効率および効果につながる。たとえば,生産企業が内示計画を用いてより正確な生産計画を立てることができる。オンラインショップはADIを価格設定や顧客セグメントの区分などに利用し,コスト削減の効果が期待できる。しかし,ADIには確定の情報もあり,注文のキャンセルや数量・納期の変更など不十分な情報もある。多くの場合,ADIを利用する効果が見られるが,採用する戦略によって効果の程度が違う。本論文では,不確実なADIをもつ多段階のプル生産在庫システムを対象とし,シミュレーションと統計の手法を用いてシステムの性能を解析する。 近年,ADIを考慮した生産在庫システムに関する研究が多くなされてきた。ここで,シミュレーション手法でADIをもつプル生産在庫システムを対象とする研究を紹介する。[6]では,3段階のかんばん制御の生産在庫システムを対象にADIの有無の効果を解析している。ADIがある場合,生 産リードタイムより需要リードタイムが長ければ,生産は見込生産(Maketo-stock, MTS)から受注生産(Make-to-order, MTO)に転換でき,つまり延期戦略をとることができる。そして,需要の早期出荷が許されず,ジャスインタイムで納入するが,納期の時点で在庫が不足の場合,受注残が許容されている。シミュレーション実験の要因は到着率やかんばん枚数,基点在庫水準,需要リードタイムなどで,評価尺度は平均在庫や受注残,平均総費用などである。ADIを利用した多くの場合,受注残や仕掛在庫,総在庫などの削減の効果があり,提案しているシステムは単純なプルシステムより効率がよいと報告されている。[5]では,ADIを考慮した3段階の生産在庫システムを対象とし,早期納入が許容されると仮定してシステムを解析している。その結果はADIの有効性が確認され,そしてかんばん制御と早期納入の併用の案が最良であると結論づけている。しかし,これらの研究では,注文は1回あたり製品1個の到着と仮定し,バッチサイズを考慮していない。そこで本研究では,顧客の注文はバッチサイズで到着し,そして注文量が確率分布に従うと仮定し,[6]のモデルを拡張する。本論文の構成は以下のとおりである。2章では本論文で取り扱う生産在庫システムについて述べる。3章ではシミュレーションモデルを構築する。4章ではシミュレーション実験を実施し,その結果を考察する。5章では結論を述べる。
本文を読む

http://repository.seinan-gu.ac.jp/bitstream/123456789/1194/1/co-n62v1-p53-74-wan.pdf

このアイテムのアクセス数:  回

その他の情報