紀要論文 外国為替証拠金取引規制 ―わが国におけるFX取引の沿革と現状― 〈その2〉
The Regulation of Foreign Exchange Margin Transactions (FX Transactions): The History and Present Condition of FX Transactions in Japan (Part 2)

畠山, 久志  ,  林, 康史  ,  歌代, 哲也

65 ( 2 )  , pp.25 - 52 , 2015-11-06 , 立正大学経済学会
ISSN:02883457
NII書誌ID(NCID):AN00069955
内容記述
1996 年に第二次橋本内閣が発足直後,抜本的な金融制度改革,いわゆる日本版金融ビッグバンを実施した.その金融制度改革の施策の一つに外国為替取引の完全自由化という規制撤廃があった.外国為替管理の自由化によって為銀主義が廃されたために,現在では一般にFX取引と呼ばれる外国為替証拠金取引が誕生した.外国為替証拠金取引に関しては,規制する業法もないため,監督官庁もなく,通常の民法や商法などの一般法によるルールがあるのみといった,ほとんど規制のない状態で取引が自由に行えるようになった.外国為替証拠金取引は,レバレッジを用いて取引が行われ,また,差金決済が可能であるため,取引によっては多額の利得を得ることもあるが,過大な損失を被ることもある金融商品である.法律の不存在の結果,外国為替証拠金取引の商品特性の説明が不十分であったり,顧客も特性を理解しないまま取引が行われたりし,不公正な取引が行われることもあり,社会問題化し,また,訴訟にも発展した.こうした事態を受けて政府は規制を行うこととし,外国為替証拠金取引は先物取引と整理され,改正金融先物取引法で規制が行われることとなった.外国為替証拠金取引業者は金融庁に登録が義務付けられ,参入規制や,商品説明義務や不招請勧誘などの行為規制などが課され,顧客保護に一定の効果があった.しかし,リーマン・ショックが起こり,外国為替証拠金取引業者が破綻し,顧客に損害が及んだケースもあった.そのため,取引証拠金の区分管理を徹底し,ロスカット・ルールを定め,証拠金のレバレッジ規制を導入した.取引証拠金の区分管理やロスカット・ルールは,外国為替証拠金取引に本来的に不可欠なものであり,適切な規則であるものの,商品性の本質にかかわるものではない.一方,レバレッジ規制は,商品の効率性,魅力に係る本質そのものを制限するものであり,単なる業者規制,行為規制に止まらない.こうした商品の本質そのものに係る制限は,日本版ビッグバンが目指した金融制度改革の規制緩和,自由化に逆行するものと評価される.本稿は,外国為替証拠金取引を外国為替制度の規制緩和の流れのなかで位置づけて史的展開を述べ,市場・取引と法が相互依存・経路依存であることを認めたうえで,その取引に係る諸規制,就中,レバレッジ規制について検討するものである.
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