紀要論文 ケインズの科学的方法について (五味久壽教授・今井賢教授定年退任記念号)
On the Scientific Method in Keyes’s Economic Theory and Policy (Special Issue in honor of the Retirement of Professor Hisatoshi Gomi and Professor Masaru Imai)

小畑, 二郎

64 ( 4 )  , pp.1 - 44 , 2015-03-31 , 立正大学経済学会
ISSN:02883457
NII書誌ID(NCID):AN00069955
内容記述
この論文では,ケインズ理論の科学的方法について検討する.その際にカール・ポパーによって始められた科学的方法論を主として参考にする.ケインズは,その時々の政治経済的な係争問題(issue)に対処するために,時機に応じた経済理論モデルを設定し,そのモデルに基づいて政策当局に対して経済政策を提言し,その政策が実施された場合の効果または帰結について検討するという研究方法をとった.このような方法は,ポパーの科学論における反証主義または試行錯誤の科学的方法に類似する.またケインズは,『一般理論』の書評に答えた「雇用の一般理論」(『ケインズ全集第14 巻』所収)において,彼自身の経済学研究の「基本的考え方」とその「特別な型」とを区別する方法論を示した.これは,ラカトシュ科学論における「研究計画の中核」と「周辺理論」の区別に相当する.このような理解から,本論文では,ケインズの貨幣に関する3 部作において示された科学的研究過程について検討する.また第2 次大戦後,とくに1970 年代以降のケインズ政策の有効性についても検討する.そのような検討をふまえて,ケインズの金融政策は,変動相場制のもとで為替レートを変更することを通じて,現代の経済においても効果を発揮すること,および,ヒックスの多時限的な金融政策によって補完されることによって,その効果をさらに高めるであろうことを指摘する.しかし他方で,ヒックスによる金融政策の効果の非対称性に関する指摘や,ハイエクによる社会主義批判が,政府財政の肥大化した現代の資本主義経済に対しても妥当することを考慮するならば,金融緩和による雇用促進策や財政政策,特に増税による財政再建策に関しては,その効果はあまり期待できないことについて述べていく.
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http://repository.ris.ac.jp/dspace/bitstream/11266/5618/1/%5b001-044%5d.pdf

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