紀要論文 銚子市内のアライグマ生息状況 : 痕跡調査およびカメラトラップ調査の結果報告
Invasion and inhabitation of feral raccoon (Procyon lotor) in Choshi : Investigation report of tracks and camera traps

加瀬, ちひろ  ,  小林, 恒平

内容記述
アライグマ(Procyon lotor)は全国に定着している特定外来生物で、農業被害や住居への侵入による物損や衛生的、精神的被害などの生活被害のほか、在来種の捕食や在来種との競合といった生態系への影響も危惧されている。千葉県においても定着および農業被害が問題となっているが、銚子市においては、進入・定着の報告はあるものの、どこにどの程度アライグマが生息しているかといった基礎的情報が乏しく、被害実態の把握や対策は行われていない。そこで本調査では、銚子市内全域のアライグマ生息状況を把握するため、寺社建造物の痕跡調査およびカメラトラップ調査を実施した。まず、広域的な生息状況を把握するため、銚子市内の寺社建造物においてアラグマが利用した際に残る爪痕を目視で確認する痕跡調査を行った。その結果、58ヵ所中10ヵ所でアライグマの可能性が極めて高い爪痕があり、11ヵ所でアライグマの可能性のある爪痕があった。つぎに、アライグマの可能性が極めて高い爪痕のあった寺社10ヵ所に赤外線センサー付き自動撮影カメラを設置し、アライグマの出没状況を調査した。その結果、10ヵ所中2ヵ所でアライグマが撮影されたが、その頻度は極めて低く、痕跡調査の結果とあわせて、アライグマは銚子市内の広範囲に低密度で分布していることが示唆された。これは、アライグマのソースとなる大きな森林が存在せず、細い斜面林が複雑に連続性を成している銚子市の景観的特徴が反映された結果であると考えられる。また、銚子市は今後アライグマの個体数および生息密度が爆発的に増加し、農業被害や生態系被害などが深刻化することが危惧された。外来種の対策において、高密度化した状態からの根絶は極めて困難であることが分かっている。そのため、低密度状態を維持している銚子市では、個体数の増加期に達する前の早急な対策が重要になると考えられる。
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