Departmental Bulletin Paper ミュルダールの政治経済学 ――社会政策・経済政策における価値――

渡邊 幸良

(第49号)  , pp.203 - 225 , 2017-10-10
ISSN:0285-9718
Description
 ミュルダールの政治経済学は,国民生活問題を扱う社会政策や経済政策が調査研究する場合に避けることのできない価値のとらえ方を提供する。研究者の客観性を確保するためには,偏向(bias)の所在を知り,その偏向を排除しなければならない。また,ミュルダールの研究の発展段階から,政治経済学とは何かを検討し,社会問題を扱うためには価値前提を明示して非経済的要因も含めた広範囲を扱う政治経済学に回帰する必要性を確信した。ところで,明示的な価値前提の目的は,諸概念の定義づけ,論理的基礎,および偏向の追放にある。そして,価値前提の選択には,関連性,重要性,実現可能性,論理的整合性の4 原則がある。これらを理解しながら価値前提の例を考察して,具体的方法を把握する。さらに,ヴェーバーの価値自由を否定するミュルダールの価値-手段-効果図式も検討し,目的だけでなく,手段や派生効果など全経過にも価値判断があることを理解しながら,観察や政策的決定を出さなければならないことを理解した。もちろん,社会政策や経済政策の課題は分配と再分配の問題であるが,その政策決定には非経済的要因も大きくかかわるので,ミュルダールの政治経済学の方法論が有意義である。
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http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/binary/p/10719/s/9642/

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