Departmental Bulletin Paper 高齢者の加害事故と法的な責任

升田 純

第122巻 ( 第1・2号 )  , pp.827 - 853 , 2015-08-03
ISSN:0009-6296
Description
 高齢者は、判断能力、身体能力が低下し、事故に遭う可能性が高まるが、日本社会の高齢化の急速な進行とともに、高齢者の事故が増加している。高齢者の事故は、被害者になる事故が増加するだけではなく、交通事故等において加害者になる事故も増加している。高齢者が加害者になった場合、その責任能力の有無が問題となることがあるが、未成年の場合と異なり、高齢者の能力の低下は段階的、不規則に進行することが多く、その判断は困難である。高齢者の責任能力が認められる場合には、不法行為等の根拠に基づき損害賠償責任を負う。他方、責任能力が認められない場合には、民法七一四条所定の監督義務者、代理監督義務者の損害賠償責任が問題となるとともに、高齢者の監護等を行う家族等の同法七〇九条の損害賠償責任も問題になる。また、成年後見制度が導入されて以来、専門職成年後見人が多数選任されているが、これらの成年後見人の損害賠償責任も同様に問題になる。最近責任能力が認められない高齢者の加害事故をめぐる判決が社会の耳目を集めたが、新たな法律問題を提供するものであり、本稿は、この判決を題材にし、成年後見人等の損害賠償責任が重要であることを紹介したものである。
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http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/binary/p/9687/s/8187/

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