Departmental Bulletin Paper 入会権の変容について

古積 健三郎

第122巻 ( 第1・2号 )  , pp.347 - 384 , 2015-08-03
ISSN:0009-6296
Description
 従来、入会権の性質は、実在的総合人としての部落共同体による土地の総有的支配と解され、このような権利の変更・処分は、部落構成員の全員の同意を要すると考えられてきた。ところが、近時では、入会集団を権利能力なき社団と位置づけたうえで、これをめぐる法的紛争を解決している裁判例が目立ってきている。本来、権利能力なき社団とは、個々の構成員から切り離された現代的な団体であり、上記の古典的な入会集団とは異なる性質を有している。このため、本稿では、従前の入会集団やその慣習が生活環境の変化に伴い変質してきているのではないかという問題意識の下に、山口県上関町の入会裁判に焦点を当て、入会集団の変容の可能性について検討を加えた。 その結果、地域住民の意識等も勘案すると、入会地に対する部落構成員の関心が薄らいでいるケースにおいては、従前の入会権のごとく各構成員が直接に入会地に対して権利を有するというよりも、むしろ、それとは切り離された団体自体が土地を所有するものと捉えるのが実態に相応しており、ここでの入会団体の性質は現代的な社団に接近しているとの結論に至った。
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http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/binary/p/9675/s/8175/

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