Departmental Bulletin Paper 性状瑕疵の約束保障構成をめぐって―担保債務か、債務不履行責任か―

川村 洋子

第122巻 ( 第1・2号 )  , pp.215 - 261 , 2015-08-03
ISSN:0009-6296
Description
 ヘルマン・イザイに「ドイツ的法思考の孤立化」(一九二四年)と題した作品がある。星野・瑕疵担保の研究は、売却物に性状瑕疵が契約締結前から付着した原始的な給付障害について、後発的な給付障害を擬制して債務不履行責任を説く。外国に類比事例を見ない意味で日本的法思考である。もっとも二〇〇一年のドイツ債務法改正前の旧債務法(四三四条→同四四〇=同三二五条)は、古典期ローマ法源→サヴィニー⇒ヴィントシャイト学説と系譜した「追奪担保債務」の王道を斥けて、債務不履行責任構成に逸脱していた。しかしこの逸脱は、二〇〇一年の債務法改正によって旧軌道に復されている(新四三五条)。 ところがわが国では、星野学説に連なる『債権法改正の基本方針Ⅳ』が、星野学説をモデルに瑕疵担保を債務不履行責任化した債権法改正案を提唱するだけでなく、『基本方針Ⅱ』もこれに共鳴する。冒頭の表題をもじれば、日本的法思考の孤立化である。本稿はこの孤立化の経緯の検証にあてられた。
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http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/binary/p/9672/s/8172/

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