紀要論文 実録と档案の間―明代万暦初期の事例から―

荷見 守義

(82)  , pp.31 - 60 , 2015-10-30
ISSN:0287-3877
内容記述
明朝档案は、編纂史料である『明実録』からでは窺い知ることのできない官僚制の現場の声を知る得がたい史料と言い得る。しかし、逆に言えば、極めて限られた範囲の事項しか扱わないため、官制の全体像が見えにくくなる性格も有する。従って档案史料を扱う場合は、皇帝を頂点とする王朝官制文書システムのピラミッド構造の中でどの部分を構成する档案であるかを把握しつつ、その後、当該档案はどのように扱われていくかを想定することである。本稿においては、万暦九年(一五八一)のモンゴルの遼東鎮への攻撃を題材として、これに関連する巡按山東監察御史関連の档案を整理し、『明実録』に示されるような皇帝への上奏・報告へと繫がる前段階の档案であることを確認した。当然、これら档案段階の報告は、さらに巡按山東監察御史の手で皇帝へと送られたであろうが、『明実録』に記載が乏しい。ただ、『明実録』掲載の巡按山東監察御史関連の記事はこのような段階を経て来たものと考えられるのである。
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http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/binary/p/8283/s/6426/

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