紀要論文 『モロイ』に見る螺旋構造―繰り返される逃避の記憶―

鈴木 邦成

(82)  , pp.53 - 73 , 2015-10-30
ISSN:0287-3877
内容記述
サミュエル・ベケットの『モロイ』は二部構成になっている。第一部はモロイ自身による母探しの旅についての手記となっていて,改行の全くない読みにくい一人称の文章で書かれている。モランの精神状態は正常とは思えず,モロイは自分のこと,母のこと,家族のことなどについて正確な記憶を有しない。第二部はモロイを捜索するモランの手記となっており,モロイとは一見,対象的で理路整然と物を考えるモランによる,モロイ捜索の報告書を書き出す場面から始まる。モロイの捜索を謎の人物であるゲイバーに依頼されたモランは旅に出るが,その旅の途中で殺人を犯す。その後,ゲイバーの命令でモロイ捜索の旅を終えたモランが自宅に戻り,報告書を書き始めるところで第二部は終わる。本稿ではまずはモロイ,モランのそれぞれの旅を分析し,ついで両者の関係を考察し,さらにベケットのゲシュタポからの逃避体験の影響をそれぞれの手記から読み取る。
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http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/binary/p/8278/s/6421/

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