Departmental Bulletin Paper 和歌における「鶴」―高内侍と西行の和歌を繫ぐもの―

木村, 尚志

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歌語「夜の鶴」は『和漢朗詠集』の「第三第四絃冷々 夜鶴憶子籠中鳴」(管絃・五絃弾・白居易)に基づく。高内侍は長子伊周が流罪となった時に、病に倒れ「夜の鶴都のうちに籠められて子を恋ひつつもなきあかすかな」(栄花物語・浦々の別れ)と詠んだ。百七十年後、源平の合戦に敗れ捕虜となった平家の武将平宗盛とその子清宗は、鎌倉へ向かった後、京都へ送還され、近江国篠原宿で斬首された。宗盛が清宗のことを思って泣いていたと聞いた西行は、「夜の鶴都のうちをいでてあれな子の思ひには惑はざらまし」(西行法師家集)と詠んだ。二首ともに「都のうち」に五絃弾の詩から取った「籠の中」という言葉を掛けて「夜の鶴」の縁語として詠み込み、そして栄枯盛衰の時代状況の中で生まれたものである。本稿では鶴という歌語全体の性質にまで視野を広げつつ、このような「夜の鶴」にまつわる逸話が後の時代の歌語「鶴」の展開にどのように関与するのかを家の意識等にも着目しつつ考察する。
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