Departmental Bulletin Paper 幼児、児童のメソッドによる描画指導法の研究

島田, 由紀子

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 幼稚園の造形活動や小学校の図画工作は、美術を専門に学んだ保育者や教師が担当するとは限らない。したがって、造形活動や図画工作の指導や援助に戸惑う者も少なくない。その戸惑いの影響は、幼児や児童の表現にも表れることが予想され、幼児や児童自身の苦手意識にもつながることが考えられる。造形活動や図画工作を苦手に感じている保育者や教師が多いことから、活動や授業にすぐに結びつく実践的な書籍がこれまでも多く出版され、また講習会や研修会も数多く行われている。特に、描画活動は幼稚園でも小学校でも行われていることから、保育者や教師のさらなる描画指導に対する苦手意識と困難さは先行研究からも読み取ることができる。描画指導に対する苦手意識や困難さを感じている保育者や教師にとって、具体的なメソッドを教授する講習会の影響は大きく、絵画コンクールに出品される作品からもその影響がみられる。しかし、メソッドによる描画指導法については、これまで、造形教育や美術科教育の研究対象としてはほとんど取り上げられてこなかった。その理由に、メソッドに沿った描画では幼児や児童の思いや個性が表現されず、画一的な表現に陥ることが挙げられている。一方、メソッドによる描画指導の講習会は毎年行われていることから、支持している、あるいは頼りにしている保育者や教師が多いことが推測される。描画指導法のメソッドが確立、普及していった背景からは、絵が描けない幼児や児童の存在と、自身の描画に対する苦手意識と指導や援助に困惑している保育者や教師の姿が見えてくる。そして、メソッドを習得した後、活動や授業の中で実践し、幼児や児童が予想していたように描けることに達成感や手応えを感じ、さらにメソッドを取り入れた指導法を推し進めているという実態が考えられる。 幼稚園教育要領や小学校学習指導要領にメソッドによる描画指導法を照らし合わせて考えると、必ずしも沿ったものではないことがわかる。幼稚園教育要領や小学校学習指導要領は「上手に絵を描くこと」をねらいや目標としていないからである。メソッドでは、学力の三要素にもある知識や技能の習得は可能であっても、思考力・判断力・表現力、主体的に学習に取り組む態度には結びつきにくい側面があることも推測される。また、学校教育ならではの集団での遊びや学びがメソッドでは想定されておらず、友達や保育者、教師とのかかわりは重視されていない。今後、幼児や児童自身がメソッドによる描画指導法についてどのように感じ考えているのか把握する必要がある。
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